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2023年8月30日更新

公認心理士になるには 
資格の取得ルートや仕事内容を紹介

公認心理士の仕事はクライアントの心の健康に関与する専門家です。相応に高度かつ広範な専門知識が必要とされ、資格を取るには日本公認心理士資格認定協会による資格認定試験に合格する必要があります。試験を受けるためには大学院の修了またはそれに準ずる経験が求められます。公認心理士養成校は、第1種指定大学院が全国に150校、第2種指定大学院が8校、専門職大学院が5校あります。

今回の 教えてグッピー公認心理士 では、公認心理士になるための過程や資格、公認心理士の仕事内容などについて紹介します。

公認心理士に必要な資格・試験

公認心理士になるためには、4年制大学卒業、指定大学院の修了を経て、資格認定試験の受験資格を得ます。一次試験・二次試験を経て合格し、資格交付の手続きを経て、晴れて公認心理士資格を取得することができます。なお、すでに医師資格を有している場合は心理臨床を2年以上経験することで受験資格を取得できます。公認心理士資格認定試験は年に1回、一次試験と二次試験の2回に分けて実施されます。

2022年までは、実務経験5年および講習を受講した方の区分G受験者が大部分を占めていましたが、2023年以降は区分Gがなくなり受験者が大幅に減っています。

公認心理士試験 合格者数と合格率

厚生労働省HPより

公認心理士を養成する学校・養成校

公認心理士養成校は、第1種指定大学院が全国に150校、第2種指定大学院が8校、専門職大学院が5校あります(2022年6月1日時点)。第1種指定大学院は修了後、直近の試験の受験資格が得られますが、第2種指定大学院の場合は修了後その後1年以上の実務経験が必要です。指定大学院や第一種などの区分確認は協会の学校名一覧を確認しましょう。大学院進学前の4年制大学は基本的にどんな学部からでも指定外学院への受験はできます。しかし心理学系・臨床心理学系の学部に入学しておけば、大学院受験やその後の学習がしやすくなるのは間違いないでしょう。

学費について、国公立大学院はほとんどが入学金28万2,000円、授業料53万5,800円(年間費用)です。一方、私立大学院の場合は学校によってさまざまです。入学金は15〜25万円、年間の授業料は約60〜80万円、加えて施設費などでさらに20〜30万円ほどかかる場合が多いようです。

私立の大学・専門学校は学校ごとに学費が大きく異なりますが、地方に比べると東京や大阪などの都市部で学費が高い傾向があります。また、教材費や実習費が別途必要になる学校もあります。多くの学校では奨学金制度があります。

公認心理士の就職先

公認心理士の活動領域は、教育、医療、司法、福祉、産業など多岐にわたります。心のケアや心理的なサポートに対する重要性が認知されるとともにニーズも大きくなっており、今後もさらに広い分野に広がっていくことが期待されます。ここでは各分野での主な業務について紹介します。

教育・相談分野

学校や相談センターなどで、学業、発達、生活面などでの問題に対してケアをします。当事者以外にも、親、教師へのコンサルテーションを実施したり、他機関との橋渡しをしたりします。

医療・保健分野

病院や保健福祉センターなどで、心の問題で不適応に陥っている人、病気やけがなどを負っている患者さんへの心理ケアなどを実施します。医師や保健師との連携も重要な仕事です。

福祉分野

児童相談所、老人福祉施設、女性相談センター、心身障害者福祉センターなどで、子どもの心身の発達、非行、障害児・者、女性問題、高齢者の問題などの福祉に関する幅広い領域に対し、心理的側面からサポートします。

司法・矯正分野

家庭裁判所、刑務所、少年院、警察関連施設などで、社会的処遇を決定する際の心理ケアに関するテストや調査、矯正に向けての心理面接などを行います。

労働・産業分野

企業において従業員へのコンサルテーションを実施します。就業の相談では、職業への適性をめぐる問題等の心理的援助を行います。

公認心理士の仕事内容

日本公認心理士資格認定協会では、公認心理士の業務を以下のように紹介しています。業務環境やクライアントによって重きに違いもありますが、全ての業務に精通している必要があります。

公認心理士の仕事内容

①臨床心理査定心理テストや観察面接を通じてクライアント固有な特徴や問題点の所在を明らかにし、望ましい援助方法を考案します。
②臨床心理面接多様で個別的なクライアントの問題に対して適切な臨床心理学的技法を用いて、クライアントの「共感」「理解」といった心情を醸成します。公認心理士のもっとも中心的な専門行為です。
③臨床心理的地域援助地域住民や学校、職場に所属する人々(コミュニティ)など、個人をとりまく環境を調整する活動です。
上記①~③に関する調査・研究援助技法や査定技法を含めた多様な心理臨床実践に関する調査や研究活動を実施します。

公認心理士の 月給・年収・賞与

公認心理士の平均年収は300~500万円で、月給では20~25万円が相場のようです。特徴としては、教育、医療、司法などの活動する分野によって収入の水準が変動することです。

公認心理士の給料相場
年収300~500万円
月給20~25万円
時給1,500円〜2,500円

令和2年「公認心理師の活動状況等に関する調査」より

適性・向いている人

公認心理士の仕事はクライアントの精神的健康に密接に関わるため、いかなる場合も丁寧なコミュニケーションが必要となります。また臨床心理学は発展が著しく、新しい技術、隣接する学問分野の知見の習熟など、スキルの研鑽が当たり前に求められます。ここでは公認心理士を目指す上で意識してほしい素養について紹介します。

コミュニケーション能力

公認心理士にとってコミュニケーションスキルは非常に重要です。多くの医療系職種に言えることですが、クライアント一人ひとりの固有の課題を捉えるためには信頼関係を築くためにも会話によるコミュニケーションは欠かせません。一口にコミュニケーションといっても、さまざまな要素があります。傾聴スキル、言語化スキル、観察スキルに加え、忍耐力や共感力などが必要になることもあります。現時点で全てを備えている必要はありませんが、コミュニケーションに苦手意識があったり煩雑さを感じている人は、公認心理士に向いているとはいい難いでしょう。

向上心

公認心理士には向上心も求められます。この分野は新しい技術や研究成果が生み出されます。学生のときに学んだ知識のままではすぐに医療の進歩に遅れてしまいますから、公認心理士になった後も知識をどんどん刷新していかなくてはいけません。協会は公認心理士に「生涯学習」を求めています。公認心理士は資格の更新制度があり、5年毎に資格の再認定を受ける必要があります。こうした環境において、新しい知識や技術を身につける向上心や柔軟性は公認心理士に欠かせない素養といえます。

倫理観

公認心理士には患者の心の課題を扱う性質上、高度な倫理観が求められます。患者の中には反社会的・非倫理的な課題を抱えている場合もあるかもしれませんが、それに対して通念的な社会正義や倫理観を押し付けるだけでは、なんの解決にもならないだけでなく、かえって問題を硬直化させるかもしれません。どんな患者であってもその利益のために、基本的人権を尊重し、差別や先入観を排除してコンサルテーションを実施できる倫理観が重要になるのです。

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