看護師の仕事内容と就職先、業務のスケジュール 教えてグッピー | 医療・介護の求人・転職・募集ならグッピー
2024年4月17日更新

看護師の仕事内容と就職先、業務のスケジュール

看護師の仕事内容は、大きく「医師の診療の補助」と「患者の療養や生活の世話」に分かれます。体温や血圧など、体調や症状を把握する上で欠かせないバイタルサインの測定や検査のために採血をして診療を支える他、食事や排泄の介助や移動の介助などを行って患者の療養生活を支えます。

看護師の職場は、病院が全体の68%を占め、14%が診療所です。介護保険の施設や患者宅に訪問する訪問看護ステーションも、近年多くを占める職場となっています。

バイタルサインの測定
バイタルサイン(体温、血圧、脈拍数、呼吸数など)の測定
点滴、注射、薬の投与
医師の指示のもと、薬剤を準備し、適切な方法で投与
診察・治療の準備、手術の補助
医師の診察や処置のサポート
食事、排泄、入浴の介助
症状や状態により患者ができない行動を手伝う
体位の変換、清拭
自分で動けない患者の体を動かしたり清潔に保ったりする
移動の介助や移送
自力で移動できない患者の移動を助ける

看護師の主な仕事内容・業務

看護師の仕事には、大きく分けて「医師の診療の補助」と「患者の療養・生活上の世話」があります。

患者に最も近い存在として、体調の変化をいち早く察したり、療養する上での悩みを聞き取ったりすることも大切です。

以下は主に病棟で入院患者を担当する看護師の仕事について解説しています。

体温、血圧、脈拍などの測定

体調を把握するために必要なバイタルサイン(体温、血圧、脈拍数、呼吸数など)を測定します。入院患者の場合、毎日決まった時間に測定しその変化を記録します。測定時には患者と話し、様子を観察して、調子や治療効果を確認することも重要です。

点滴、注射、薬の投与

医師の指示に従い、必要な薬剤の点滴や注射を行います。薬剤の準備から、患者への投与、その後の廃棄なども行います。飲み薬は飲むタイミングに合わせて配布します。薬剤の取り違え、分量の間違いなどは、命に関わるため、複数人数でチェックを行います。

診察・治療の準備、手術の補助

医師の診察の前に、道具を取り揃えて使いやすいように準備をします。検査が必要になる場合は、採血などをして検査の部署に回します。手術室に勤務する看護師は、手術中に医師に器具を手渡したり、作業を手伝ったりする他、患者に手術の説明をしたり待機する家族に連絡をしたりします。

食事、排泄、入浴の介助

一人一人の患者に食事を配膳し、自分で食べられない患者には介助します。食器を下げる際には、食事量を確認し記録します。食後は歯みがきができない患者への口腔ケアも必要です。 体を動かすことができない患者のトイレへの付き添い、おむつ交換、入浴やシャワーの手伝いも行います。

体位の変換、清拭

寝返りができず、同じ姿勢を続けていると、痛みが出たり、褥瘡(床ずれ)ができたりする原因になります。自分で体を動かせない患者には、定期的に体の向きや姿勢を変えるようにします。入浴が出来ない患者に対しては、体を拭いて清潔に保つことも行います。

移動の介助や移送

検査室やリハビリ室へ行くなど、ベッドから離れて移動する必要のある患者をサポートします。自力で立ったり歩いたりできない患者に対しては、ベッドから車いすに移るのを助け、車いすを押してサポートします。完全ではないが歩行できる患者に対しては、転倒することないように寄り添い介助して、移動を手伝います。

相談やアドバイス

病気治療中の患者は、さまざまな不安を抱えています。患者に最も近い場所にいる医療者として、患者の悩みを聞いて不安を和らげたり、医療ソーシャルワーカーなど専門職につなげたりします。治療効果の出る生活習慣などをアドバイスしたり、医師の説明がよく理解できなかった場合に、再度わかりやすく説明するなどの役割もあります。

多職種との連携

病院では、医師の他、薬剤師、理学療法士などのリハビリ職、管理栄養士など、さまざまな専門職が協力しあって一人の患者の治療を行います。カンファレンスなどに参加し、各専門職と話し合い、治療や看護の方針を確認します。患者と接触する機会の多い看護師は、他職種に情報提供する必要性もあります。

看護師と保健師の違い

看護師と保健師は、主な職場と仕事内容が異なります。ただし、保健師資格は看護師資格がある人しか取得することができないので、保健師として働いている人も全員看護師資格を持っています。看護師が主に病院や診療所などの医療機関で患者の看護や診療の補助を行うのに対し、保健師は、地域社会で人々の健康を守る仕事をします。主な職場は自治体や自治体の運営する保健所などです。

妊婦や乳幼児のケア、地域の健康診断事業、障害や病気を抱える人の生活相談、感染症対策や、予防接種事業などを企画、運営します。企業などで従業員の心身の健康相談・指導を行う産業保健師の仕事もあります。

比較すること看護師保健師
なるには看護師国家試験に合格看護師国家試験に合格した上で、保健師国家試験に合格
主な仕事場病院や診療所など医療機関自治体や保健所
主な仕事内容患者の看護、診療の補助地域の健康増進、病気予防

看護師と助産師の違い

看護師と助産師は、主な職場は病院や診療所であり共通していますが、助産師は分娩の介助をはじめ、新生児や乳児のケア、妊産婦へのケアや助言を行います。

子育てにおいてもサポートを行います。保健師同様、看護師資格がある人のみが追加取得できる資格です。

看護師は男女ともになれますが助産師は女性にしかなれない職業です。 病院や診療所で助産師としての一定以上の経験を積むと、助産所を開設することができるようになります。

多くの助産師が、一般的な病院等にはない個性や特徴のある助産所を開き、妊産婦や乳幼児のケアをしています。

比較すること看護師助産師
なるには看護師国家試験に合格看護師国家試験に合格した上で、助産師国家試験に合格
主な仕事場病院や診療所など医療機関病院や診療所など医療機関
主な仕事内容患者の看護、診療の補助妊産婦のケア、分娩介助

看護師の職場・就業場所

看護師の68%が病院で、14%が診療所で働いています。病院は入院のベッド数が20床以上、診療所は入院施設なしを含め19床以下の医療機関のことです。

介護施設で働く看護師は8%、患者の自宅を定期的に訪問する訪問看護ステーションに勤務する看護師が5%です。

その他、保育所や障害者施設などの社会福祉施設や看護師を養成する学校、自治体や企業などにも職場は広がっています。

厚生労働省「令和4年衛生行政報告例」より

病院

病院で働く看護師は全体の68%、看護師の主要な職場です。病院では入院患者の療養上の世話や、診療・治療する上での医師のサポートが中心です。

患者のケアは24時間必要なため、夜勤があるのが一般的です。外来担当では、採血や血圧、脈拍等の測定など、診療の補助の仕事が主になります。

厚生労働省「令和4年衛生行政報告例」より

診療所

看護師の14%が診療所で働き、病院に次ぐ主要な職場となっています。診療所には入院施設がないところも多く、外来で診療の補助、検査、処置を行うことが中心です。

医師の診察前に患者の受診理由を聞くことを任されている診療所も多くあります。診療道具や薬剤の管理、受付を行うこともあります。

厚生労働省「令和4年衛生行政報告例」より

介護保険施設

看護師の8%が勤務する介護保険施設には、利用者が入所して生活する施設や、通ってケアやサービスを受ける施設があります。

入所施設では利用者のバイタルチェックや食事量の確認、口腔ケアなどの健康管理や服薬の管理を行います。皮膚の軟膏を塗ったり湿布を貼り替えたりといった簡単な処置を行うこともあります。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションで勤務する看護師は5%。訪問看護ステーションを拠点に自宅で療養生活を送る患者の自宅を定期的に訪問してケアを行います。

具体的には、入浴や食事の介助やバイタルチェック、医師からの指示にもとづいての注射や点滴など医療処置です。看護師自身が組織を起ち上げて運営する例も多くあります。

厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」より

社会福祉施設

看護師の2%が働く社会福祉施設には、高齢者対象の入居施設、児童が対象の施設、障害者が対象の施設などがあります。

施設によって、仕事内容はさまざまですが、その施設を使う人の健康管理を行うことは共通です。

たとえば、児童福祉施設のひとつである保育所では、子ども達の健康管理や、手洗いやうがいなどの衛生指導、アレルギーの対応や衛生管理を行います。

その他

看護師は幅広く健康管理の行える職業であるため、人が集まるところには需要があります。

企業では従業員の健康相談にのったり、観光やレクリエーションの施設で体調を崩した利用者のケアをしたりすることも看護師の重要な役割です。

臨床現場での経験を生かして、看護師を養成する学校で教員となる道もあります。

看護師の活躍の場

看護師の1日のスケジュール

看護師の主要な職場である病院では、日勤と夜勤を交代しながら担当することが一般的です。

日勤の看護師と夜勤の看護師は、入れ替わりの際に申し送りを行い患者の看護情報を共有します。交代制勤務には大きく分けて二交代制と三交代制があります。二交代制を採用する病院の方が多くなっています。

日勤の場合の例

8:30 出勤、申し送り、カルテや看護記録、1日のスケジュールを確認
9:00 担当患者のバイタルチェック
10:00 担当患者の処置やケア
11:30 昼の休憩を交代でとる
12:30 昼食の介助や下膳
13:00 カンファレンス
14:00 午後のケアや処置
16:00 カルテや看護記録を入力
16:30 夜勤の看護師に申し送り
17:00 終業

夜勤の場合の例

16:30 出勤、申し送り、カルテや看護記録、1日のスケジュールを確認
17:00 担当患者のバイタルチェック
17:30 夕食の配膳、介助、下膳
19:00 点滴や配薬
20:00 就寝前の見回りや介助
20:30 夕食の休憩を交代でとる
21:00 消灯
22:00 夜の見回り
交代で仮眠、休憩をとり、体位交換や見回りを定期的に行う
6:00 検温等バイタルチェック、朝食の配膳、介助、下膳
8:00 カルテや看護記録を入力
8:30 日勤の看護師に申し送り
9:00 終業

二交代制と三交代制

二交代制は、8時間程度の日勤16時間程度の夜勤を組み合わせます。夜勤中には2〜3時間の休憩や仮眠をとれるようになっています。二交代制の夜勤は長時間になりますが、夜勤の次の日は休日になることが一般的で、連休をとりやすい傾向があります。

三交代制は、朝から夕方までの日勤夕方から夜までの準夜勤夜から朝までの夜勤、それぞれ8時間程度の勤務を組み合わせます。長時間の勤務は発生しませんが、休日日数が少ない、休日の夜から勤務が始まるといった特徴があります。

日本看護協会の「2022年病院看護・助産実態調査」では、最も多くの看護職員に適用されている夜勤形態は、74.8%が二交代制、20.7%が三交代制でした。

仕事の魅力

看護師の仕事の魅力は、まず病気を抱えた人に寄り添い力になれることが挙げられます。患者さんが回復していく様子を目の当たりにすることにはやりがいも感じられます。患者や家族から「ありがとう」と声を掛けられることも多く、人とのふれあいにより喜びを感じられる瞬間も少なくない仕事です。

近年は、従来は医師が行ってきた処置でも事前の指示があれば看護師が実施できるようになったものもあり、看護師の専門性が高まり医療現場での存在感は増しています。多くの医療機関で看護師の需要は高いため、現在のところ、仕事を見つけるのに苦労することはほとんどないでしょう。

実際に看護師として働く方のインタビュー

病院を受診したとき、看護師の方と接する中で、看護師という職業に触れることがあるかと思いますが、実際に看護師として勤務されている方は日々どう感じているのでしょう。ここでは、看護師として働いている方に対して行ったインタビューを紹介します。

患者やその家族の言葉に救われる毎日(2年目・病棟勤務・女性)

やりがいを感じるのは患者さんから感謝の言葉をかけられたときです。内科病棟ということもあり、入退院を繰り返す患者さんもいます。生活習慣の見直しが必要な患者さんが取り組みやすい方法を一緒に考えたことがありました。自分の接し方や介入の仕方が、患者さん自身の生活の見直しにつながるととてもうれしいです。退院後、「入院中に考えてくれた方法を家でも続けたら調子がよくなったよ」と言われたときは、本当に看護師になってよかったと感じました。

まだまだ回数は少ないのですが、入院中に患者さんが亡くなったときは、とても辛く、もう続けられないと感じたほどです。しかし、亡くなった患者さんの家族が、「最期を迎えられたのがここで良かった」と言ってくれたので救われました。自分の看護を振り返ると、もっとああしておけばよかった、もっとできたはずだと感じることが少なくありません。しかし、やりがいのある仕事だからできる限り長く続けたいと思います。

難しくても成長できる職場に満足 (7年目・病棟勤務・女性)

看護師の仕事を始めてから7年間、ずっと消化器内科と移植外科の混合病棟で働いています。急性期の患者さんと終末期の患者さんが混在する病棟なので、仕事の幅が広いのが特徴です。患者さんによって、必要な看護の違いが大きいので、慣れるまでは本当に大変でした。しかし、厳しい職場だからこそ学べることもたくさんあります。看護師として学ぶべきことが学べる職場だと思えるようになって、あまり辛く感じなくなりました。さまざまな患者さんと接することになるため、コミュニケーションの取り方も7年間で大きく変わったと思います。

新人の頃は、カルテから情報を読み取ることに必死になり過ぎて、患者さんの身体や表情をしっかり見ることができていなかったかもしれません。しかし、慣れてくるにつれて、患者さんの顔や身体の状態などをしっかり見れば、カルテを読んだだけではわからない情報を感じ取れるということに気付きました。自分の目で見て得た情報とカルテに書かれている情報とを照らし合わせることが重要だと気付いたことは、自分にとって大きい変化です。新人を指導する立場になったからこそ、あえて教えず、自分で気付かせることも大事だと思うようになりました。

患者さんの気持ちを配慮することが大事(2年目・病棟勤務・男性)

整形外科と泌尿器科の混合病棟で勤務しています。2年目です。私が勤務する病院は比較的男性看護師の人数が多いのですが、病棟勤務の看護師にはもう少し男性が多くても良いのではないかと思います。看護学校時代から女性が多い環境だったので、仕事上で性差を感じることはあまりありません。仕事に男性だから、女性だからという違いはないので、肩身が狭い思いをしたこともないですが、力仕事は男性の私が率先して行うようには気を付けています。

性別を気にせず働ける職場なのは本当にありがたいです。とはいえ、患者さんが看護師の性別を気にすることは正直あります。とくに清拭は、男性にされるのは嫌だという女性の患者さんの場合は仕方がありません。手の空いている女性看護師に替わってもらうようにしています。逆に排せつの介助を女性看護師にされるのは恥ずかしいという男性の患者さんもいるので、仕方のないことだと受け止めています。患者さんの気持ちを第一に考え、配慮することが私たちにとっては重要なことです。

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