歯科技工士の時給相場とは?
歯科技工士は、入れ歯や歯の詰め物・かぶせ物、矯正装置などの作成・加工・修理を行う専門職です。専門の養成機関で所定の課程を修了し、歯科技工士国家試験に合格することで資格を取得できます。
2021年の「歯科技工士実態調査報告書」によると、勤務者(雇用されて働く人)の勤務先は「歯科技工所」が58.7%と最も多く、次いで「歯科診療所(26.1%)」「病院(4.1%)」などが続きます。
雇用形態については、勤務者のうち
正規従業員:83.2%
パート・アルバイト:4.6%
契約社員:3.4%
となっており、パートタイムで働く歯科技工士は5%弱と多くないことがわかります。
一方、自営で歯科技工業務を行う歯科技工士も一定数存在します。実態調査は「勤務者」と「自営者」を分けて調査しているため、厳密な人口比率は示されていませんが、自営で個人開業する働き方も一般的です。
今回の記事では、時給について詳細に紹介します。
目次
歯科技工士の時給相場は?(GUPPY調べ)
歯科技工士の平均時給は、全国平均で1,443円~1,789円ほどです。 地域別に見ると、東京は1,583円~1,747円、大阪は1,432円~1,940円となっています。 東京の「下限値」は全国平均より100円以上高い一方で、「上限値」は全国平均よりやや低い水準にとどまっています。
| 2023年 | 2024年 | 2025年 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 下限 | 上限 | 下限 | 上限 | 下限 | 上限 | |
| 全国平均 | ¥1,255 | ¥1,696 | ¥1,340 | ¥1,821 | ¥1,443 | ¥1,789 |
| 東京 | ¥1,368 | ¥1,820 | ¥1,436 | ¥1,900 | ¥1,583 | ¥1,747 |
| 大阪 | ¥1,220 | ¥1,660 | ¥1,267 | ¥1,600 | ¥1,432 | ¥1,940 |
また、2023年と2025年の時給を比較すると、次のような変化が見られます。
全国平均
- 下限:1,255円 → 1,443円(+188円)
- 上限:1,696円 → 1,789円(+93円)
東京
- 下限:1,368円 → 1,583円(+215円)
- 上限:1,820円 → 1,747円(−73円)
大阪
- 下限:1,220円 → 1,432円(+212円)
- 上限:1,660円 → 1,940円(+280円)
エリアによって時給の伸び方に特徴があります。
ただし、歯科技工士のパート・アルバイト求人は多くないため、一部の歯科技工所や歯科医院が提示する高時給・低時給が平均値に影響を与えている可能性も考えられます。
厚生労働省の調査での平均時給
賃金構造基本統計調査によると、歯科技工士の時給は2021年に1,263円で、その後は年ごとに変動しています。 2022年には1,427円まで上昇し、2023年には1,412円とわずかに減少しました。 最新の2024年は1,299円となっており、2021年以降の推移を見ると一時的な上下はあるものの、おおむね1,200円台〜1,400円台で推移しています。
2021年から2024年の4年間の平均時給は、約1,350円です。
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
|---|---|---|---|---|
| 平均時給 | ¥1,263 | ¥1,427 | ¥1,412 | ¥1,299 |
歯科技工士の給料は何で決まる?
歯科技工士の給料は、職場の規模や経験年数、スキルなどによって変動します。歯科技工士の給料に影響を与える代表的な要素を解説します。
職場の規模
令和6年賃金構造基本統計調査によると、歯科技工士の時給は職場の規模によって差があることがわかります。
平均時給は「5〜9人で1,662円」「10〜99人で1,241円」「100〜999人で1,368円」
全事業所計では1,299円で、1,000人以上の大規模事業所のデータは公表されていません。
そのため、小規模〜中規模の事業所のほうが、より多くの収入を得やすいと考えられます。
経験年数
歯科技工士の給料は、経験年数を重ねるごとに上がる傾向があります。年代別の年収をみると、
最も年収が高いのは45〜49歳で552万9,100円です。
そのほかの年代も、20代前半で333万円台、30代で418万円台、40代で494万〜552万円台、50代は549万円〜443万円台と、年代が上がるにつれて着実な上昇が見られます。
60代前半は476万5,500円、65歳以上では273万円台まで下がる傾向があります。
このように、経験年数に応じて年収が順調に上がりやすい職業だといえます。
スキル
歯科技工において特に重要とされるスキルには以下があります。
- 自然な補綴物を作るための精密な技工スキル
- CAD/CAMや3Dプリンターなどのデジタル技工への対応力
これらのスキルを持つ歯科技工士は重宝され、年収・時給も高くなる傾向にあります。
歯科技工士が給料アップを目指すには
パート・アルバイトで働く歯科技工士が給料をアップしたいと考えた場合、代表的な方法について解説します。
スキルを磨いて昇給を目指す
- 経験に比例して年収アップが見込めるため、職場に不満がなければ技工スキルを磨きながら昇給を目指す方法が有効です。
- CAD/CAMや3Dプリンターなど、デジタル技工にも対応できるようになると、評価が高まりやすくなります。
好待遇の職場に転職をする
- 職場の規模や診療内容(自由診療中心か保険中心か)によって給料に差があるため、待遇改善には職場選びが重要です。
- 小規模=高待遇、大規模=低待遇とは限らないため、求人の条件をよく確認する必要があります。
歩合制の職場に転職をする
歯科技工所の中には、歩合制を取り入れているところもあります。歩合制の場合、技工料金の一部が給料に加算されたり、制作・技工した数に応じて報酬がプラスされたりといった給与体系となっていることがほとんどです。そのため、技工スピードに自信がある方は歩合制の職場に転職することで収入を大きく増やせる可能性があります。 ただし、歩合制の場合には数を増やそうと無理に残業したり、欠勤すると大きく収入が減ったりする場合があることを頭に入れておきましょう。
独立開業により年収アップを目指す
歯科技工士の4割ほどは自営業であり、歯科技工士が独立開業を目指すのはめずらしいことではありません。独立開業には、専門分野を極められることや自分の生活スタイルに合わせて稼働ができること、雇用されている場合よりも大幅な年収アップが期待できることといったさまざまなメリットがあります。
ただし、独立開業には大きな責任が伴い、歯科技工スキルだけでなく、経営や営業に関するスキルも必要になります。設備投資も欠かせないため、独立開業により年収アップを目指す場合には、長期的な計画を入念に立てるようにしましょう。

