歯科衛生士の仕事内容とは?診療科別、大学病院、公務員の業務を紹介 教えてグッピー | 医療・介護の求人・転職・募集ならグッピー
2023年11月29日更新

歯科衛生士の仕事内容とは?診療科別、大学病院、公務員の業務を紹介

歯科衛生士の仕事内容は、「歯科予防処置」「保健指導」「診療補助」「口腔機能訓練」などの専門業務があります。近年ではホワイトニングなども増えているほか、歯や口腔の健康ケアを通して、病気の予防・健康維持などのサポートも担っています。全体の約9割が歯科医院(デンタルクリニック)で働いていますが、昨今の高齢化もあり介護施設や訪問歯科診療など活躍の場も増えています。

歯科衛生士になるには、「歯科衛生士法」に基づいて認定される国家資格が必要で、国家試験に合格することで得られます。

歯科予防処置
フッ化物塗布、歯垢や歯肉縁上の歯石の除去 自分の担当患者さんを持つことも
保健指導
患者さんがセルフケアできるように指導 患者さんの生活習慣を聞き出すことも大切
診療補助
仮封材の除去、概形印象、ホワイトニング、治療に使う器具や消毒薬などの準備
口腔機能訓練
高齢者を中心に咀嚼や嚥下の機能が落ちている人への訓練やアドバイスをする

歯科衛生士の仕事内容・業務

歯科衛生士の主な仕事内容として「歯科予防処置」「保健指導」「診療補助」「口腔機能訓練」「ホワイトニング」などがあります。むし歯や歯周病になる前の予防をサポートすることが歯科衛生士の主な役割で、歯石の除去やクリーニングなどを行います。

むし歯の患者数は年々減っていますが、歯周病はいまだ増加傾向であるため、歯科衛生士の活躍はますます期待されています。昨今では、高齢者の口腔ケアの重要性も高まっていて、訪問診療先で口腔機能訓練やアドバイスをするケースも増えています。

歯科予防処置

歯科予防処置は、口腔内のクリーニングや、歯と歯肉の境目より上の部分の歯石の除去(スケーリング)、フッ化塗布などの処置を行います。口腔ケアのために来院する患者の担当を歯科衛生士が行い、歯科医師が最後にチェックする診療形態も多いです。

予防処置の
主な業務
歯面の付着物・沈着物の除去,歯肉縁上歯石の除去,フッ化ジアンミン銀塗布,フッ化物歯面塗布,小窩裂溝塡塞(シーラント)

歯科保健指導

保健指導では、患者が歯や口腔の健康をセルフケアできるように歯の磨き方などをアドバイスします。むし歯や歯周病の予防は、患者の生活習慣に大きく影響するため、歯科衛生士が食事や睡眠状況などをしっかり聞き出すことも大切です。

保健指導の
主な業務
ブラッシング指導、栄養指導、間食指導

歯科診療補助

歯科診療補助は、歯科医師が診療を行う際にサポートする仕事です。歯科医師のように切開や抜歯、麻酔注射などはできませんが、歯に被せものをする際に印象(歯型)をとるなど、ある程度対応できる医療行為もあります。また、治療を受ける患者のモチベーションを支えたり、緊張を和らげることも大切です。

診療補助の
主な業務
患者への説明、概形印象,充塡物の研磨、ホワイトニング、歯周ポケットの検査、歯周ポケット内の歯石の除去(スケーリング)、歯周ポケット内への薬物塗布、器具・脱脂綿などの準備

ホワイトニング

近年はホワイトニングを行う歯科医院も多く、歯科衛生士が実施するケースも増えています。過酸化水素が主成分の薬品を使って歯を白くしていくほか、患者へのアドバイスなども行います。

日本歯科審美学会が認定している「ホワイトニングコーディネーター」の資格もあり、歯科衛生士が歯科審美学やホワイトニングについての専門知識を身につけることもできます。

口腔機能訓練

口腔機能訓練では、咀嚼や嚥下(えんげ)機能が落ちている高齢者などへの訓練やアドバイスを行います。歯を失うと生活の質が大きく低下してしまうほか、歯周病が内臓の病気に影響を与えることもわかっており、高齢者の口腔ケアの重要性は高まっています。高齢者が食事を楽しめるような助言は、歯科衛生士の新しい仕事分野として注目されています。

歯科衛生士【就職先別】の仕事内容

歯科衛生士の職場としてもっとも多いのは歯科医院(デンタルクリニック)で、全体の9割以上を占めます。次に多いのが、一般歯科より難しい症例などを扱う病院で5%。そのほか、高齢者への口腔ケアなどを行う介護施設訪問歯科診療、保健所などで公務員として働く行政、医療機器や生活用品のメーカーなどがあります。

職場・就業場所

歯科医院(デンタルクリニック)

歯科衛生士の9割以上は歯科医院で働いています。主な業務は、歯科衛生士の専門分野である歯科予防処置と保健指導です。最近では、治療だけではなく予防に重点を置く傾向もみられます。歯科医院での診療は、歯科医師とほかのスタッフとのチーム体制で行うことがほとんどです。診療の補助に加えて、患者さんの前向きな治療や予防を促すためにコミュニケーションも重要になります。

昨今では患者担当制の歯科医院も増えており、歯科衛生士が効率よく働けるように歯科衛生士専門ユニットを導入するケースも増えています。令和2年度の調査では、専用ユニットがある歯科医院は36.5%となっており、平成27年度に行った前回(31.5%)の調査時より5%も増加しています。

歯科医院での専門ユニットの有無と台数

公益社団法人 日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」より

訪問歯科の仕事内容

高齢者の増加を背景として、患者さんの自宅で歯科治療・診療を提供する「訪問歯科診療」の需要も高まっています。訪問歯科の歯科衛生士は、歯科医師の診療補助、口腔ケア、本人・家族へのアドバイスなどを行います。口腔ケアのみの場合は、歯科衛生士が単独で訪問する場合もあります。

歯科衛生士が単独で訪問する場合は、医師と立てた治療計画に基づいたケアを行います。血圧の測定、口腔内のクリーニング、唾液の分泌を促すマッサージ、入れ歯のメンテナンスやかみ合わせの確認などを行います。

訪問歯科では、高齢の患者さんの病気や健康状態への配慮が重要です。高齢になると口腔の機能が低下して呼吸がしにくい、重たい病気で思うように食事がとれないといった場合もあり、臨機応変な対応力が求められます。

小児歯科の仕事内容

小児歯科ではむし歯の治療や口腔内のクリーニングなどのほか、歯の生え方、かみ合わせや歯肉の異常から、口のなかのケガまで扱うことが特徴です。歯科衛生士は、歯科医師の診療の補助や口腔ケアなどを行います。

また最近ではスマートフォンの使用による姿勢への影響などから、子どもの口腔の筋機能に異常がおこることで、いびきなどの症状が顕在化しています。そのような場合の筋機能療法も歯科の領域です。歯科衛生士は歯科医師とともに治療計画を立て、子どもへ口腔マッサージや指導を行います。

治療においては、子どもの年齢や体力、感情をみながら負担をかけないよう目配りをこころがけ、信頼関係を築いていくこともやりがいになります。

大学病院・病院の仕事内容

大学病院・病院では、予防やメンテナンスを行うほか、外科、小児、矯正などの分野において歯科医院より設備の整った環境で、専門的な治療に関わることが多いです。また、病院内の医科からの依頼で、外来や入院患者の治療を担当することもあります。病気の人の口腔ケアを任される場合は、歯科医師だけではなく病棟の医師や看護師と連携し、患者の健康状態を確認しながら対応します。

病院で受け入れる症例は、一般の歯科医院では治療できないものが多く、歯科衛生士もより難しい症例を経験することがあります。また、さまざまな治療に携わった知識や経験を生かして、研究、教育分野に進むルートもあります。

介護施設の仕事内容

歯科衛生士の職場は医療機関だけではなく、介護施設でのニーズもあります。高齢者の口腔ケアが重視されている昨今では、介護施設での仕事にも注目が集まっています。主な業務は、利用者の口腔ケアをはじめ、義歯の洗浄や取り扱い指導、歯みがき指導など多岐にわたります。普段の口腔ケアや歯みがきは介護士が行い、より専門的な口腔ケアを歯科衛生士が担当する場合もあります。

保健所・公務員の仕事内容

歯科衛生士には公務員として働く道もあります。働く場所としては、自治体の保健所や保健センターが多く、口腔ケアの専門職として地域の人々を対象に、歯科検診や歯科健康指導に携わります。行政の保健業務では、看護師資格を持つ保健師が中心業務を担うことが多く、外部の協力者を含め、医師や歯科医師、栄養士、社会福祉士、介護士など、医療・健康・福祉の専門家と連携します。

企業・メーカー

医療機器メーカーや生活用品メーカーなどの企業への就職も少数ですがあります。平成30年度に厚生労働省が発表した「衛生行政報告例」では、事業所(企業・メーカー)で働く歯科衛生士は0.2%です。

歯科医院や病院などへの営業をはじめ、歯ブラシなどの予防歯科関連商品の開発、予防歯科商品や機器などの研修・セミナーを行う講師など、多岐にわたります。企業によって役割や業務は異なりますが、患者と向き合うのではなく、医療従事者や歯科学校の関係者が顧客になることが多いです。

歯科衛生士と歯科助手の違い

歯科医師の補助を行う仕事として歯科助手もありますが、歯科衛生士とは大きな違いがあります。歯科衛生士は歯科衛生士法に基づいて認定される国家資格を持っています。資格取得には、専門の養成所で3年以上学んで卒業したうえで、国家試験に合格する必要があります。取得後は、医療従事者として歯科医師の指示のもと、歯科診療補助や予防処置、保健指導の業務ができます。

一方、歯科助手には公的な資格がありません。民間団体や医師会などによる認定資格はありますが、なくても仕事に従事できます。業務は、器具の準備や片付け、滅菌処理、雑務全般などですが、医療従事者ではないため医療行為は一切できません。

また、給与面にも違いがあり、歯科衛生士の年収が350万円前後に対し、歯科助手は300万円程度です。

歯科衛生士歯科助手
国家資格ありなし
医療行為できるできない
学校・養成所ありなし
仕事内容歯科医療業務歯科医療業務以外の業務
(受付・事務・片付け・掃除など)
給与(年収)約380万円約312万円

歯科衛生士の1日のスケジュール

歯科衛生士の9割が職場とする「歯科医院(デンタルクリニック)」での1日のスケジュール例です。役割分担や業務などは個々の医院により異なります。朝は、診療開始の前にミーティングや診療準備が一般的です。診療中は、歯科予防処置や保健指導などの専門業務だけでなく、受付やカルテ管理、会計などの仕事もある程度求められます。

歯科医院は急患が少なく予約がメインのため、日々の患者数や業務量はある程度把握できます。診療が長引いたり、予約の時間がずれるなどの理由によって残業が発生することもあります。

歯科衛生士の1日のスケジュール

仕事の魅力

歯科衛生士は仕事の魅力が多数あるだけでなく、実際に魅力を感じて働いている人が多くいます。なかでも「国家資格である」(96.1%)、「専門性の高い仕事である」(93.6%)、「人や社会に貢献できる」(91.6%)の3つは上位で、すべて90%を超えています。

また、歯科衛生士の求人倍率も非常に高く、自分に合った職場を探しやすい職業です。そのほか、年収も景気によって左右されることが少なく、過去16年で平均約350万円前後と安定しています。

歯科衛生士の仕事の魅力

日本歯科衛生士会「第9回歯科衛生士の勤務実態調査報告書」より

役立つおしごと情報を発信中!教えてグッピー