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2024年4月3日更新

歯科衛生士と近年の社会貢献

歯科衛生士の面接対策

歯科衛生士が貢献できる分野というと、真っ先に思い浮かぶのは予防歯科の領域でしょう。もちろん予防分野は歯科衛生士の主な活躍領域ですが、それ以外にも大きな働きがあります。

ここでは、歯科衛生士だからできる歯科医院経営への貢献、日常の地域社会災害時の被災地への貢献にスポットを当てて紹介します。

歯科医院の安定経営を支える

歯科衛生士は患者さんへ提供する技術やホスピタリティによって、歯科医療を支え社会に貢献します。

歯科医院が歯科衛生士を雇用したいと考える要因のひとつに、歯科衛生士が経営面で与えるメリットが大いにあるのです。

全国保険医団体連合会が発表した「2013 年度歯科会員アンケート最終集計結果について」こちらのアンケートのデータによると、2012年4月の歯科診療報酬改定後から、歯科衛生士の勤務の有無によって、歯科医院の保険収入の増減に差があることがわかります。

歯科衛生士が勤務している歯科医院では保険収入が増加した割合が18.2%であるのに対し、勤務していない歯科医院では5.4%。

逆に保険収入が減少した割合は、歯科衛生士が勤務している歯科医院は47.7%、勤務していない歯科医院では69.9%。

このように歯科衛生士が勤務しているか否かで、歯科医院の経営状態が大きく左右されると言えます。

歯科衛生士在籍による加算

保険診療では、治療の対価が「診療報酬」と呼ばれ、治療内容ひとつひとつに点数が決められています。

歯科医院向けに規定されている診療報酬には、歯科衛生士が在籍していないと算定できない加算や治療内容があるのです。

たとえば、「⻭科外来診療環境体制加算」は、歯科医師が複数名在籍しているか、歯科衛生士が1名以上在籍している歯科医院が、初診料や再診料を高く設定できる制度です。

「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」「歯科治療時医療管理料」も同様に、歯科衛生士の在籍で加算できる項目です。

歯科衛生士が主治医の指示を受けて患者さんにブラッシング指導などを行う「歯科衛生実地指導料」「周術期等専門的口腔衛生処置」は、歯科衛生士が実施することで算定できる項目です。この他、訪問歯科診療でも歯科衛生士の在籍や同行によって、診療報酬が高くなるしくみがあります。

患者満足度をアップ

経営面での貢献は、診療報酬という狭い範囲にはとどまりません。近年は一般の生活者の間でも予防歯科への意識が高まっています。

症状が出てから治療するのではなく、定期的に歯や歯肉の異常をチェックや、歯垢・歯石の除去を自発的に行おうとする患者さんも増加中です。

クリーニングやブラッシング指導の専門トレーニングを受けている歯科衛生士がいる歯科医院が、そうでない歯科医院に比べて多くの患者さんを獲得できるわけです。

さらに、歯の予防処置やメンテナンスを歯科衛生士に任せることができれば、歯科医師は本来の診療業務に専念することができます。分業によってより多くの患者さんに対応することができて、待ち時間を減らすことにもつながるでしょう。

また、歯科治療には苦手意識を持つ人も少なくありませんが、歯科衛生士が丁寧に接して安心感を与えられれば、患者さんの評価も高まります。

このように、歯科衛生士の存在が患者さんの満足度を向上し、経営にもプラスの影響をもたらすのです。

地域の高齢者の健康な暮らしに貢献する

近年は、高齢者の健康維持増進、自立支援や介護の重度化防止に、口腔ケアが重視されています。口腔内の細菌を減らし嚥下訓練を行うことで、誤嚥性肺炎の発症を予防できる他、咀嚼できる能力を維持して低栄養を防ぎ、食べる楽しみを持つことにもつながるからです。

そのため、施設や在宅で介護を受ける高齢者に、歯科衛生士が専門的な口腔ケアや口腔機能訓練を行う事例が増えており、地域社会に欠かせない人材となっています。

この仕事で活躍するのは、主に介護施設や訪問診療を行う歯科医院に勤める歯科衛生士。介護施設では介護士に口腔ケア方法の指導を行い、リハビリ職とともに摂食・嚥下の訓練にも関わります。また訪問歯科では、定期的に口腔ケアで訪問する歯科衛生士が、高齢者の健康状況を把握し地域の他職種と共有するなど、多職種連携も目立つ仕事です。

歯科衛生士の働きが、高齢者が生きがいを持って暮らせること、家族や社会の介護負担の軽減に貢献しています。

災害時に被災者の健康を守る

多くの被災者が避難所での不便な暮らしを強いられる大規模災害では、災害で命が助かっても、その後の避難生活で体調を崩して命を落としてしまう「災害関連死」を引き起こすことがあります。

災害関連死の原因には誤嚥性肺炎が多く、水不足やケア用品の不足により歯みがきや義歯の手入れができないことなどが原因と考えられます。

被災者の命を守るため、災害時には口腔ケアやその啓発を行う歯科医師や歯科衛生士で構成されるチームが被災地に派遣されています。

2024年1月に起こった能登半島地震においても、JDAT(日本災害歯科支援チーム)が派遣され、多くの歯科衛生士が参加しました。限られた水を使ってできるケア方法やお口の体操の紹介、ケア用品の使い方指導、お口のお悩みを聞き取っての口腔ケアの他、被災者と話し心に寄り添う姿も見られました。

JDATに参加するには、災害口腔ケアの研修を受ける必要がありますが、歯科衛生士が高い社会貢献を行っている事例のひとつです。

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