歯科衛生士の面接対策「医院の目線」で解説! 教えてグッピー | 医療・介護の求人・転職・募集ならグッピー
2024年5月22日更新

歯科衛生士の面接対策「医院の目線」で解説!

歯科衛生士の面接対策

歯科衛生士の採用面接では、歯科医院はどういう視点で求職者を見ているのかを、専門家に聞きました。面接ではあらゆるスタイルがありますので、ひとつの事例としてご紹介します。

このテーマの専門家

プロフィール

内田幸一さん

アイコネクト合同会社代表/歯科特化型リクルーター。20年を越える人材採用経験をもとに、それぞれの歯科医院に合わせた面接力の向上を支援。2022年度は年間100名の面接に同席し、65名を採用につなげる。

採用面接は「相互理解」の場です

全国の歯科医院において歯科衛生士の採用支援をしているリクルーターの内田幸一です。採用面接について、歯科医院の視点から参考になるお話ができればと思います。

私は求職者に必ず面接では、「お互いの相互理解の場所なので、お互い本音で話しましょう」と伝えます。 私たちはあなたのことを知りたいですし、あなたにはこちら側のことを知ってもらいたいので、今日はそのために時間を使いましょうとお話しします。 面接は相互理解の場所なのですから。

面接のプロのいる医院はない

ただ、それがきちんと実行できていない歯科医院が多いのが実際です。

お互いの相互理解ができていないで入職するとミスマッチが起こり、早期退職につながることがあるので注意が必要です。

医院側が最低限聞きたい質問事項

歯科医院の立場で面接で最低限聞くことは以下の5つになります。


  1. 7万件ぐらい歯科医院がある中でなぜ当院に応募したのかという志望動機
  2. 性格・行動の特性など人物面
  3. 経験・技術的なスキル
  4. 仕事に対するマインド・やる気
  5. 本人が今回の転職就職活動で何を大事にしてどういう希望があるのか

また面接で医院が求職者へ聞いてはいけないこともありますので最後にご紹介します。これらを時間内で確認するために、面接の流れを工夫をしています。

面接の流れ・フロー

はじめに求職者の方に適性検査やアンケートを書いてもらい、その間に履歴書を確認します。私が同席する場合は、まずここからはじめます。※事前に記入するシートがなく面接の場合もあります。

ある面接の流れ

適性検査・アンケート※ない場合もあり

履歴書の確認

医院の自己紹介

志望動機確認

経歴確認

人物確認

質問・伝達事項

院長先生には「面接を始めます」といってから「履歴書を出してください」とその場で確認しないようにお願いしています。5分ぐらい沈黙の時間が発生して、お互いに話しやすい雰囲気にならないからです。

履歴書は受付で預かってもらい、院長と求職者には見えない場所で履歴書を確認してもらい、この辺が気になるから聞こうという準備をします。

お互いの自己紹介、アイスブレイクの時間、志望動機の確認、中途の方であればこれまでの経歴や人物を確認します。

本人にその歯科医院のことを知ってもらう質疑応答の時間を持つことも重要です。

一般的な面接時間は?

歯科医院向けのWebセミナーで「適切な面接時間」についてのアンケートを行ったところ、半数の医院で面接時間が30分でした。

しかし30分では求職者の適性・能力の判断、自院のアピールを伝えるには短く、質疑応答の時間も踏まえると45~60分程度になる場合もあります。

30分の時間設定では、駆け足で伝えるべき内容を医院から一方的に機械的に伝えることになりかねません。これでは求職者の意向をくみ取り、回答する事ができません。

忙しい院長に1時間を捻出してもらい、相互理解の場だとすると面接の時間は45~60分が適性と考えています。

実際の面接の実況(60分の場合)

それでは、私が同席した実際の面接の流れをお話しましょう。

多くの場合、私のようなリクルーターは不在で面接が進むと思います。あくまで医院視点の参考としてお読み頂けたらと思います。

【面接例】歯科衛生士25歳、経験4年目、就業中、見学済み

適切な面接時間は60分で設定しました。

時間配分

最初の5分はアイスブレイクの時間。本音で話す関係性をつくり、話しやすい雰囲気にするための時間にします。

次の10分は志望動機の確認、経歴スキル面は15分、人物確認15分、制度説明15分、最後に質疑応答という流れです。

【事例】面接の流れと質問:前半30分

時間内容/質問内容
9時45分適性検査受験・アンケート
9時58分適性検査の内容確認
10時開始履歴書の文字が上手なのを褒める
地元の話で打ち解ける
当院の求人で魅力的だったところ
スタッフが魅力的な医院は他にもあったと思うけど、うちの医院でスタッフ以外に魅力だったところ
人間関係に注目したことから、前職の人間関係で何かあったか確認
当院のホームページは見ましたか?見ていたら感想を聞かせてください
10時10分歯科衛生士を志したきっかけ
10時15分社会人になってからの経緯の説明
前職の教育内容
前職の退職理由
得意なことと苦手なこと
3年後の自分のキャリアプラン

全部この通りにはいかないですが、目安としてはこれくらいの時間で行います。 適性検査やアンケートはない場合もありますし、面接前にオンラインで行う場合などさまざまです。

順を追って見ていきましょう。

適性検査

この日は適性検査を面接前にやることになったので、 応募者さんには15分前に来てくださいとアナウンスしました。

適性検査を受けていただいている間に履歴書をあらかじめ回収します。そして履歴書をもとにして、院長とこの部分を確認しようと準備します。

適性検査確認

適性検査が終わりました。 面接に入る前に適性検査はリアルタイムで結果がわかるので、点数が高い・低いところを見てここをちょっと中心に質問していこうとまとめます。

アイスブレイク

アイスブレイク。
「改めまして内田です」「初めまして院長の誰々先生です」のようにスタートします。

まず履歴書を見て「めっちゃ字上手ですね」「ペン習字のみこちゃんとかやってました?」とか年配の人しかわからない話を投げましたが、「ありがとうございます。よく言われるんです。昔、実はこんなことやってて…」と反応をくれたので少し打ち解けられました。

あとは私の以前の住所に偶然近い住まいだったので、「駅前のあのラーメン屋まだ流行ってます?」「行ったことあります」。

こんなやりとりから、さらにちょっと距離が縮まります。

志望動機の確認

次に志望動機の確認です。

「グッピーから今回応募してもらいましたが、魅力的だったところはどこでしたか?」と質問を続けます。

そこでご本人が転職活動で大事にしてるポイントが大体見えてきます。

「写真を見ると、スタッフの方が和気あいあいとして楽しそうだから来ました」といった返事があれば、この方は人間関係を気にするのかな?と推察しながらそうなのか確認していきます。

あとは、
「他に魅力的だと思ったことは何かありましたか?」「人間関係を気にしているようですが、以前の職場で人間関係でなにかあったのかな?」と、ふんぞり返って聞くのではなく、相手への興味が伝わるように聞いていきます。「そうなんだ、前の職場大変だったんですね。でも頑張ったんですね」と。

HPを見ましたか?と聞き関心度を知る

より医院への興味を測るうえでは、「グッピーの求人のほか、うちのホームページを見てくれました?」と聞きます。

「見ました」「何分ぐらい見た?」「20分ぐらい見ました」「しっかり見てくれたのですね、嬉しいです。ちなみにどういう感想を持ちましたか?」ということを聞いていきます。

トップページに書いてある内容しか返ってこなかったら、多分20分もしっかり見てないなと、ばれちゃったりします。

反対に、すごく細かくホームページを隅々まで見てくれたんですねということがあれば、だいぶ興味関心を持ってくれているとわかります。

スキル・経歴確認

そしてスキル確認。

どうして歯科衛生士なろうと思いましたか?」「社会人になってからこれまでどんなことやってきたのか、簡単に私に説明してください」「前職でどんな教育を受けたのですか?

そして現職を退職する理由もお聞きします。

続けて「得意なことと苦手なことを教えてください」「3年後のキャリアプランを聞かせてください

そんな流れで、あっという間に10分が過ぎていきます。

人物確認

そして人物確認。性格などの確認です。

他の人からどんなタイプだと思われていますか?」「仕事真面目に取り組んでまわりに気を使うタイプ
だと、
そのエピソードを教えてください」「そのときあなたはどういう行動をとったのですか?」というかたちで、過去の行動の特性から人物面を確認する、いわゆる「コンピテンシー面接」で掘り下げていきます。

――医院の視点で、基本情報を確認する流れを解説していただきました。これらは転職の際に整理しておきたい情報です。 続いては、「自分がどんな人なのか」人物面について 自己分析のできる5つの質問 をご紹介します。

参考:面接で聞いてはいけないこと

面接では医院が求職者へ聞いてはいけないこともあるので注意します。「面接で聞いてはいけないこと」は以下の通りです。

  • 本人に責任のない事項の把握
    1. 「本籍・出生地」に関すること
    2. 「家族」に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
    3. 「住宅状況」に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
    4. 「生活環境・家庭環境など」に関すること
  • 本来自由であるべき事項
    1. 「宗教」に関すること
    2. 「支持政党」に関すること
    3. 「人生観・生活信条など」に関すること
    4. 「尊敬する人物」に関すること
    5. 労働組合に関する情報雄(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
    6. 「購読新聞、雑誌、愛読書」などに関すること
  • 身元調査などの実施、合理的、客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

基本的に採用選考の判断にしてはいけないような項目は決まっているので、これについては聞いてはいけないことになります。ただし聞いていないのに相手が話してくれたとことは除きます。面接を受ける側の立場でも知っておくとよいかと思います。

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