歯科衛生士になるには?資格は独学で取れない理由、必用な年数、受験資格、費用の目安
💡この記事の内容
・ 歯科衛生士の資格取得は最短3年
・ 国家試験の合格率は約90%
・ 専門学校生、先輩の声も紹介
歯科衛生士の資格を取るには
国家資格が必要
歯科衛生士になるには、⻭科衛⽣⼠国家試験に合格する必要があります。国家試験の受験資格を得るには、特定のカリキュラムを修めなければなりません。高校卒業後に文部科学大臣指定の歯科衛生士学校や、都道府県知事指定の歯科衛生士養成所で、決められた科目を修得し、卒業することで受験資格が得られます。
最短3年必要/独学では取れない
歯科衛生士は専門性の高い医療職であり、独学で資格を取ることはできません。歯科衛生士学校では、学科や実技のほか、歯科医院での実習もカリキュラムに含まれています。修了には最短で3年を要します。
ただし、歯科衛生士の国家資格は1度取得すると、更新なく一生有効です。国家試験の合格後に指定機関に申請を行うことで、免許書が交付されます。
目次
歯科衛生士の学校・大学:何年かかる?
歯科衛生士なるための学校・養成校は、3年制の専門学校と短期大学、4年制の大学があります。
大学・短期大学・専門学校の違い
全国に157校、171課程(2025年2月)あり、大学が14校、短期大学が17校、専修学校が4校、その他が専門学校です。専門学校では効率よく専門知識を身につけられます。大学では一般教養や関連分野など幅広く学べ、卒業すると学士の称号が与えられます。大学・短大と専門学校の違いを理解して進路を選択しましょう。
夜間部や社会人入学の選択肢もあり
歯科衛生士の専門学校では、社会人が学べる夜間コースがある学校もあります。社会人では歯科助手として働いていた人や、一般企業で働いて人なども歯科衛生士養成校に通っています。子育て中の主婦の方で、安定した仕事を求めて歯科衛生士を目指す人もいます。
卒業までにかかる学費
学費は、3年制の専門学校で卒業するまでにかかる費用は300万円~360万円程度で、夜間部は昼間部よりも少し低額になります。また、国公立大学で350万円程度、私立大学で500万円程度。短期大学では私立が300万円~400万円程度、公立で90万円~170万円程度です。
学校・養成校の卒業までの学費
| 大学 | 4年制 | 国公立 | 350万円程度 |
|---|---|---|---|
| 私立 | 480万円〜570万円 | ||
| 短期大学 | 3年制 | 公立 | 150万円程度 |
| 私立 | 300万円〜400万円 | ||
| 専門学校 | 3年制 | 公立 | 90万円〜170万円 |
| 私立 | 300万円〜360万円 |
学費の内訳と注意点
学費には授業料のほかに、実習費や設備費、教科書・実習器具・ユニフォーム代金、研修旅行費用、入学金などがあります。授業料が低く抑えられていても、実習費が比較的高額に設定されていたり、入学金が高めだったりと、学費の内訳は学校によって異なります。入学から卒業までの総額を確かめることが大事です。
学校のカリキュラム・時間割
歯科衛生士の教育では、基礎分野や專門分野など「これだけは学ばなくてはならない」と決められている内容があり、どの学校も共通です。それ以外は、学校が独自に選択必修分野などを設けて、カリキュラムや時間割を編成しています。実際に働くときに役立つ授業も多く、接遇作法や医療コミュニケーション、介護技術、先端歯科医学などがあります。
教育内容取得単位表の一例
| 教育内容 | 単位数 | |
|---|---|---|
| 基礎分野 | 科学的思考の基盤 人間と生活 | 10 |
| 専門基礎分野 | 人体(歯・口腔を除く)の構造と機能 | 4 |
| 歯・口腔の構造と機能 | 5 | |
| 疾病の成り立ち及び回復過程の促進 | 6 | |
| 歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み | 7 | |
| 專門分野 | 歯科衛生士概論 | 2 |
| 臨床歯科医学 | 8 | |
| 歯科予防処置論 | 8 | |
| 歯科保健指導論 | 7 | |
| 歯科診療補助論 | 9 | |
| 臨地実習(臨床実習を含む) | 20 | |
| 選択必修分野 | 7 | |
| 合計 | 93 | |
基礎分野・専門分野などカリキュラム
歯科衛生士学校のカリキュラムは、国家資格を取得するための教育を行うため、各学校共通で、学ばなくてはならない内容が決められています。
「基礎分野」では歯科医療を学ぶ上での基本的な知識や教養を学びます。
「専門基礎分野」では人体のしくみ・機能・生理学や栄養などを身につけます。
「専門分野」では実際の歯科衛生士の仕事に直結する内容を学び、実習で実際に手を動かして学ぶ内容も増えます。
また、各学校が実際に働くときに役立つ内容を独自に編成する選択必修分野もあります。接遇作法や医療コミュニケーション、看護学、介護技術、先端歯科医学などが多いです。卒業に必要な単位数は、学校によって異なります。
臨地実習
学校外での実習が多く用意されています。歯科医院や病院などの医療機関での実習が660時間~765時間、高齢者施設や集団指導など地域の保健機関での実習が135時間~200時間あります。
授業時間
授業の時間は9時~17時くらいが一般的で、夜間部では17時~21時が多いです。学年が進むにつれて、学校外での臨地実習もあります。歯科医院などの医療機関のほか、高齢者施設や保健機関で実際に実習を行います。
歯科衛生士の国家試験
歯科衛生士になるための国家試験は歯科衛生士法に基づいて実施されます。国家試験は年1回で、毎年3月初旬の日曜日に実施、同月下旬に合格発表が行われます。毎年7,000~8,000人が受験し、9割以上が合格しています。
国家試験の受験資格
受験資格は高校を卒業後、文部科学省が指定した学校、都道府県知事が指定した養成所で、決められたカリキュラムを履修し、卒業することで得られます。中卒の場合や独学で勉強をしても得られません。
国家試験の合格率
2025年実施の試験では8,026人が受験し7,300人が合格、合格率は91.0%でした。養成校でしっかり勉強すれば、それほど難しい試験ではありません。受験資格を得れば、何度でも挑戦できます。
歯科衛生士国家試験合格者数と合格率
厚生労働省発表資料より
歯科衛生士の就職先
歯科衛生士の9割以上は、歯科医院(デンタルクリニック)が職場です。次に多いのが、病院で全体の5%程度です。また、高齢者への口腔ケアも高まっており、介護施設や訪問歯科診療などで働くケースも少しずつ増えています。また、歯科衛生士学校の教員や、保健所などでの公務員勤務、医療機器メーカーで働く歯科衛生士も少数います。
歯科衛生士の月給・年収・給料相場
初任給・平均年収・時給相場
歯科衛生士の給料は、平均年収が405万5,600円、月給(各種手当込み)は29万7,600円です。2023年卒の初任給平均は24万9,000円で、一般大卒よりも高い水準となっています。賞与・ボーナスの平均額は48万4,400円、アルバイト・パート勤務の場合の時給相場は1,970円と、比較的高めです。全国どこでも活躍できる資格であり、ライフステージに応じて柔軟な働き方ができるのも魅力です。
| 歯科衛生士の給料相場 | |
|---|---|
| 年収 | 405万5,600円 |
| 月給 | 29万7,600円 |
| 賞与・ボーナス | 48万4,400円 |
| 初任給 | 24万9,000円 |
| 時給 | 1,970円 |
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」より
歯科衛生士の適性・向いている人
歯科衛生士の適性は、医療従事者としての責任感や、幅広い年代の患者さんと接するコミュニケーション力が求められます。そのほか、歯科医師、歯科技工士などと効率よく仕事をこなすチームワークや、細かい作業を丁寧にやる器用さや根気も大事です。新しい知識やスキルを習得するために向上心も必要となります。
コミュニケーション能力
歯科衛生士は、子供から高齢者まで幅広い年代の人を相手にする仕事とあって、コミュニケーション力は重要です。歯科衛生士の印象がよいと患者さんも安心して治療に取り組めます。歯科衛生士の対応で歯科医院の評判が左右されることもあります。
チームワーク・協調性
歯科診療は、歯科医師や歯科技工士、歯科助手と協力して取り組みます。そのためスタッフ同士が協調性をもって患者さんを治療するというチームワークが必要です。患者さんやスタッフに対し、細かな気配り・配慮ができる人が向いているといえます。
責任感・向上心
歯科衛生士は医療従事者であり、人の健康に大きく関わる責任ある仕事です。歯科医師の指示のもと間違いなく仕事をこなせなくてはなりません。また、歯科医療の進歩は早ので、最新の知識やスキルを身につける向上心のある人が向いています。
体験談:歯科衛生士の先輩に聞きました
看護師・薬剤師より歯科衛生士を選んだ理由!
矯正中に優しく接してくれた歯科衛生士に憧れ、医療職かつ国家資格であるこの仕事を選んだ室井さん。最初は覚えることが多く大変でしたが、仲間の支えで乗り越え、今では「自分に向いている」と感じています。患者さんとの信頼関係づくりにやりがいを持ち、今後はインプラントの知識を深め、認定歯科衛生士の資格取得を目指しています。
詳しくはこちら→ 外部サイト:インタビュー記事へ
社会人からキャリアチェンジ(エンタメ業界から)
エンタメ業界でのキャリアを経て、在宅医療の現場で医療に関心を持ち、夜間部で歯科衛生士の資格取得を目指す竹内さん。働きながら学べる環境を重視し、入学前に職場とも丁寧に調整。男性という立場を強みに変え、在宅や嚥下分野への関心も深めています。身近な人を支えられた経験から、希望を尊重するケアができる歯科衛生士を志しています。
詳しくはこちら→ 外部サイト:インタビュー記事へ →
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