管理栄養士はパートの場合、給料はどれくらい？地域別の平均時給や推移を徹底解説

管理栄養士、パートの場合の給料相場

管理栄養士の仕事は、食や栄養に関するエキスパートとして、栄養指導や栄養管理を行うことです。病気を患っている方や高齢の方はもちろん、子どもや働き盛りの方も含めたすべての方が健康な生活を送れるように、一人ひとりに合わせた栄養管理を行います。

医療機関や介護施設、児童福祉施設、小中学校など、働く場所はさまざまあり、正社員や派遣社員、フリーランス、パート・アルバイトなど働き方も多様です。国家資格を持つ専門職ということもあり、結婚後や子育て中にパート・アルバイトとして管理栄養士の仕事を続けていく方も少なくありません。では、パート・アルバイトで働く場合の管理栄養士の時給はどれくらいなのでしょうか。

管理栄養士の平均時給（GUPPY調べ）

パートで働く管理栄養士の平均時給は、全国平均で2025年時点では下限が1,470円、上限が1,684円となっています（GUPPY調べ）。2023年〜2025年にかけて、東京や大阪などの都市部では下限時給の上昇傾向が見られ、たとえば東京では2023年に1,215円だった下限が、2025年には2,000円と大きく上昇しています。大阪も同様に、1,255円（2023年）から1,400円（2025年）へと上昇しています。

※2025年の東京の下限値が「下限値」が2,000円と非常に高くなっているのは、一部の施設で極端に高い時給が設定されたことにより、平均値が押し上げられたためと考えられます。このように、管理栄養士の時給は勤務先や地域、職務内容によって大きなばらつきがあることがわかります。

管理栄養士の時給の推移（厚生労働省調べ）

賃金構造基本統計調査によると、管理栄養士の平均時給は1,400円台後半を推移しています。2020年から2024年の5年間の平均は1,551円です。ただし、賃金構造基本統計調査には「管理栄養士」単体でのデータがなく、栄養士も含めたデータとなっています。管理栄養士と栄養士はどちらも食と栄養の専門家ですが、管理栄養士は病気を患っている方や高齢の方などのより専門的な知識が必要となる方を対象とするため、平均給与は栄養士よりも高い傾向にあります。そのため、管理栄養士だけで平均時給の推移を見た場合には、上記の額よりも高くなる可能性があります。

管理栄養士のパートの給料は何で決まる？

管理栄養士の給料は、働く場所や歯科医院の規模、専門資格の有無などによって変動します。歯科衛生士の給料に影響を与える代表的な要素を解説します。

働く場所

管理栄養士の給料は、働く場所で大きく異なります。管理栄養士が活躍する場所としては、病院やクリニックなどの医療機関、保育園や幼稚園、介護福祉施設、給食施設、社員食堂や学生食堂、一般企業、行政施設などがありますが、このなかで時給が高い傾向にあるのは給食施設や一般企業です。

また、医療機関や介護福祉施設に関しては、その機関・施設の規模や業務内容によって平均的な時給の額を大幅に超えている場合もあります。行政施設に関しては、初任給はそのほかの職場と比べて低い傾向にあるものの、年功序列の給与体系が採用されていることが多いことから、勤続年数が増えるごとに給料・時給が上がっていくことが特徴です。

勤続年数

管理栄養士の給料は、勤続年数を重ねるにつれて上がっていくことが多いのが特徴です。長く勤めれば勤めるほど昇給しやすく、時給のアップも狙うことができます。特に公務員に関してはこの傾向が顕著なため、初任給は民間企業で働く管理栄養士よりも低い額だったとしても、数年後には同等もしくは民間企業以上の年収を得ている可能性があります。

雇用形態

管理栄養士の給料は、雇用形態によっても差が出ます。正社員や契約社員、パート・アルバイトといった雇用形態の中で、特に年収が高くなるのは正社員です。正社員は長期雇用を前提にフルタイムで働くことになるため、任される業務の幅も広く、ボーナスや各種手当といった福利厚生も充実していることで安定した年収が見込めます。契約社員やパート・アルバイトは、正社員と比較すると年収は低くなりますが、専門的な知識が求められる管理栄養士の場合はそもそも時給が高めに設定されていることが多く、各種手当やボーナスが支給される職場も少なくありません。そのほか、管理栄養士としての専門性を活かして、フリーランスで働いている方もいます。フリーランスの場合、成功すれば正社員以上の高収入が狙えますが、人によって大きく差があるのが特徴です。

資格の有無

管理栄養士自体が専門性の高い資格ではありますが、それに加えて医療系や教育系などの関連のある専門資格を持っていると、資格手当を支給されたり、好待遇で雇用されたりする可能性が上がり、給料が高くなる傾向にあります。管理栄養士の専門資格としては、日本栄養士会の専門分野別認定制度などがあります。

管理栄養士が給料アップを目指すには

管理栄養士として働くうえで給料をアップしたいと考えた場合、どのような方法があるのでしょうか。代表的な方法について解説します。

勤続年数を重ね昇給・昇格を目指す

管理栄養士は、勤続年数を重ねることで昇給・昇格しやすい職業です。

そのため、「焦らずに年収を上げていきたい」「今の職場が気に入っている」という場合には、現在の職場で実践スキルを磨きながら経験を積んでいくのが一つの手です。

管理栄養士以外の資格を取得する

資格を取得しさらに専門性を高めることで、年収アップを狙うという方法もあります。前述した日本栄養士会の専門分野別認定制度は、「より卓越した技術・知識を修得し､より複雑で解決困難な栄養の問題を有する個人や集団に応じた栄養管理を実施でき､その専門性を教育や研究スキルにも発揮できる管理栄養士」を認定する制度です。「がん病態栄養専門管理栄養士」「腎臓病病態栄養専門管理栄養士」「糖尿病病態栄養専門管理栄養士」「摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士」「在宅栄養専門管理栄養士」の5つの専門分野に分かれており、定められた研修や実地修練を修めることで認定されます。

そのほか、学校で食育活動を行うことが可能になる「栄養教諭」やアスリートに対する栄養指導の知識を証明する「スポーツ栄養士」、「ケアマネージャー」なども、管理栄養士のキャリアアップにつながる資格です。

公務員を目指す

年収アップとともに安定した雇用を目指したいという場合には、公務員を目指すという方法もあります。それまでの職場によっては、公務員になることで一時的に年収が下がる可能性はありますが、その後は勤続年数に応じた昇給が望めます。管理栄養士の資格を活かした行政の職場としては、都道府県庁、市役所、保健所などがあります。

転職をして年収アップを目指す

管理栄養士の給料は、働く場所や地域で大きく異なることが少なくありません。そのため、最短距離で年収アップを目指したいという場合には、転職がおすすめです。特に、人手不足が顕著な地域にある企業や施設であれば、大幅な年収アップが狙えます。また、これまでの管理栄養士としての経験や、管理栄養士以外の専門資格をしっかりとアピールすることができれば、さらなる好条件での転職が可能になります。月給や時給はもちろんですが、資格手当の有無や平均的な残業時間、従業員数や離職率といった点もしっかりと確認し、希望に合った職場を見つけましょう。