管理栄養士と栄養士の違いとは?資格・業務・将来性をわかりやすく解説 | 教えてグッピー
2025年10月28日更新

管理栄養士と栄養士の違いとは?資格・業務・将来性をわかりやすく解説

管理栄養士

管理栄養士と栄養士は、どちらも栄養と食事に関する国家資格です。また、名称が似ているため、どちらも同じ資格だと思っている方や、2つの資格の違いが判らない方もいるのではないでしょうか。

しかし、管理栄養士と栄養士の役割や目的、資格取得方法には、明確な違いがあります。この記事では、「どちらの資格を取得すべきか迷っている」「管理栄養士と栄養士の違いを知りたい」という方に向け、それぞれの役割や資格取得方法、業務内容を解説します。

管理栄養士と栄養士の基本的な違い

まずは、管理栄養士と栄養士の基本的な違いを、資格の目的や取得方法、難易度の面から説明します。

資格に関する比較表

項目栄養士管理栄養士
資格の管轄都道府県知事厚生労働大臣
取得方法養成課程修了で申請国家試験に合格
試験の有無なしあり
対象者主に健康な人健康な人+傷病者

資格の違い

栄養士は、栄養士法第1条第1項により、「都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者」と定められています。

それに対し管理栄養士は、栄養士法第1条第2項により、「厚生労働大臣の免許を受けて、管理栄養士の名称を用いて、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導、個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導並びに特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設における利用者の身体の状況、栄養状態、利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理及びこれらの施設に対する栄養改善上必要な指導等を行うことを業とする者」と定められています。

このことからわかるように、管理栄養士と栄養士はどちらも食と健康を扱う専門資格です。また、そのような専門知識を有している中で、さらに傷病者に対する栄養指導と給食管理をするための知識と技術を有している人に与えられる資格が、管理栄養士となっています。

取得方法と難易度

管理栄養士と栄養士はどちらも国家資格として位置づけられていますが、その取得方法には違いがあります。まず栄養士は、2年制から4年制までの養成施設にて栄養士養成課程を修了し、住所地の都道府県知事に申請することで栄養士免許を取得することができます。資格取得のための試験はありません。

一方で管理栄養士は、栄養士免許を取得したうえで厚生労働省が実施する管理栄養士国家試験に合格する必要があります。

その際の受験資格としては、4年制の管理栄養士養成施設を卒業すれば実務経験なしで受験できるケースもあります。

業務の違い

次に、管理栄養士と栄養士の業務の違いを説明します。

栄養士の役割と業務

栄養士は、健康な人々を対象に献立の作成や食事の提供、栄養指導、食育の推進などを行います。小学校や幼稚園、保育園、給食センター、福祉施設、工場などの事業所が主な職場です。

管理栄養士の役割と業務

管理栄養士も、栄養士と同様に栄養管理や献立の作成、食事の提供を行いますが、栄養士よりも幅広い対象者に対応できる点が異なります。具体的には、健康な方だけでなく、医学的に管理が必要な方々への栄養管理や指導も行うことが可能です。

管理栄養士は、医療機関にて医師などと連携して、個々の患者さんの病状に合わせた栄養管理や栄養指導を行うことができます。

主な職場の違い

管理栄養士も栄養士も、医療機関や教育機関、福祉施設などが主な職場であることに違いはありません。しかし医療機関の場合は、管理栄養士が疾病を抱える患者さんへの個別の栄養指導や栄養管理が行えるのに対し、栄養士は食事の提供が主な業務になります。

また、より専門的で幅広い業務に携わることができる管理栄養士には、行政やスポーツ団体などのより高度な食事・栄養指導が必要な現場で活躍している人も数多くいます。

どちらを目指すべき?キャリアの選択ポイント

管理栄養士と栄養士には、活躍できる場所や対象となる人、免許取得までの道のりに違いがあります。それぞれの特徴を知り、自分の目指す方向や興味に合わせたキャリア選択をすることが大切です。

栄養士

健康な人を対象とした食事の提供や、集団の栄養管理に興味がある方は、栄養士免許の取得がおすすめです。栄養士資格は、養成課程のある短大や専門学校にて最短2年で取得することができるため「1日でも早く実務について経験を積みたい」という方にも向いています。

管理栄養士

より専門的な知識を身に着け、個人個人に合わせた栄養指導や栄養管理を行いたい場合には、管理栄養士免許を取得しましょう。活躍できる場の選択肢を広げたい方、医学的な観点からも深い栄養指導を行いたいと考えている方の場合にも、管理栄養士免許の取得がおすすめです。

実際のキャリアパスと将来性

最後に、管理栄養士や栄養士として働き始めた後に、どのようなキャリアパスが考えられるのかを説明します。

栄養士としてのキャリア

栄養士は、医療機関や教育機関での献立作成や食事提供を中心に、公共機関や企業内の給食施設などでキャリアを積んでいくことができます。食品会社などで集団向けの栄養指導やメニュー作成に携わることも可能です。

また、栄養士としての実務経験が2~3年以上あれば、管理栄養士国家試験の受験資格を得ることができます。そのため、栄養士としてキャリアを積み、その後管理栄養士免許を取得してさらなるキャリアアップを目指すという方法もあります。

管理栄養士としてのキャリア

管理栄養士は、主に医療機関や福祉施設において、対象となる方一人ひとりに栄養指導や食事の提供を行うことで、その知識と経験を高め、キャリアを積んでいきます。認定資格や関連資格を取得することで、専門性を高めていくことも可能です。

少子高齢化・生活習慣病対策の観点から栄養管理の重要性は高まる可能性がありますが、就業環境や働き方も変化しているため、選択肢を幅広く捉えておくことが望ましいです。

まとめ

管理栄養士と栄養士はどちらも国家資格であり、栄養と食事を専門的な視点からサポートする職業だという共通点があります。免許を与えているのが厚生労働大臣と都道府県知事とで異なっていること、試験の有無、傷病者への個別管理・指導の可否といった違いはありますが、双方とも国民の健康と栄養に関わる重要な職業であることに変わりはありません。それぞれの共通点や違いを知り、ご自身のキャリアの方向性や目標を定めるための参考にしていただければ幸いです。

よくある質問

栄養士と管理栄養士の違いは何ですか?
栄養士は健康な人を対象とした栄養指導を行いますが、管理栄養士は病気の方や特別な配慮が必要な人への栄養管理も行える国家資格です。医療現場での栄養指導や治療食の管理など、より専門的な業務を担います。
管理栄養士と栄養士の求人にはどんな違いがありますか?
管理栄養士は医療機関や福祉施設での栄養管理業務が中心で、個別の栄養指導や栄養計画の立案に携わります。一方、栄養士は保育園・学校給食・社員食堂など、集団給食の現場で健康な人を対象にした業務が多いのが特徴です。
栄養士として働きながら管理栄養士を目指すことはできますか?
はい。栄養士として一定期間の実務経験を積むことで、管理栄養士国家試験の受験資格を得られます。現場での経験を通して知識とスキルを磨きながら、キャリアアップを目指す方が多くいます。
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