
管理栄養士になるには、国家資格を取る必要があります。大学や短期大学、専門学校などで栄養士養成課程あるいは管理栄養士課程を修了する必要があるのです。無事に必要な単位を修得し管理栄養士になったら、栄養指導や献立を考える仕事をすることになります。勤め先は多岐にわたり、病院や学校、メーカーなど引く手あまたです。ただし、管理栄養士になるまでの道のりが険しく、国家試験は新卒で受験するのが良いでしょう。
管理栄養士になるには?
管理栄養士になるには、高校卒業後に管理栄養士養成課程、あるいは栄養士養成課程のある学校へ進学する必要があります。大学や短期大学、専門学校に進学し上記の課程を修了すれば、晴れて管理栄養士国家試験に挑むことができるようになるのです。ただし、大学の栄養士養成課程、短大や専門学校でいずれかの課程を修了した人は、国家試験を受けるためには実務経験が必要になります。大学で管理栄養士を修了した人だけが、実務経験なしで国家試験を受験することが可能です。

管理栄養士を受験するのに必要な実務経験期間
実務経験期間は、大学の栄養士養成課程を修了した人は1年以上、短大や専門学校で3年修業した人は2年以上と決められています。短大および専門学校で修業したのが2年ならば、実務経験期間は3年以上必要です。そのため、管理栄養士を目指すならば高校卒業後に栄養士の養成課程がある学校へ進学するのが一番だといえます。
管理栄養士課程&栄養士養成課程のある学校
全国に管理栄養士養成課程、あるいは栄養士養成課程のある学校は2017年度時点で280校です。そのうち、管理栄養士養成施設(管理栄養士課程のある学校)が143校、栄養士養成施設(栄養士課程のある学校)は137校あります。北は北海道、南は沖縄県まで日本各地に対象施設があるため、学べる環境が整っていて挑みやすい職業だといえるでしょう。そして、管理栄養士養成施設、もしくは栄養士養成施設を無事に卒業すれば、栄養士の国家資格を取得することができます。卒業をすれば栄養士としての働き口があるので、取りあえず栄養士としての実務経験を積みながら、管理栄養士の資格取得を目指す人は少なくありません。
管理栄養士を取得できれば栄養士の下積みがなくても問題ない
上述したように管理栄養士を目指す人のなかには、栄養士としての下積みを経て資格取得を狙う人もいます。しかし、一方で管理栄養士課程を修了した人は、実務経験がなくても管理栄養士を受験できるため、新卒ですぐに資格取得をする人も多いのです。そのため、資格さえ取得できれば、新卒ですぐに管理栄養士として働き始めても問題ありません。栄養士と管理栄養士では、管理栄養士の平均年収のほうが30万~100万円ほど高い傾向です。生涯賃金の差を考えて、管理栄養士で働き始めることを選択するのも良いでしょう。
管理栄養士の仕事内容
人の健康を考え、栄養バランスの取れた献立を考えたり、栄養指導をしたりするのが管理栄養士の主な仕事です。しかし、どの職場に勤めるかによって管理栄養士の仕事内容は異なります。
医療関係で働くなら一人ひとりの患者に合わせた栄養指導
医療関係で管理栄養士として働くなら、患者の病状に合わせた栄養管理をしなくてはいけません。糖尿病など栄養管理を徹底しなければいけない患者はもちろん、他の病気でも治癒力を高めるために一人ひとりに合わせた栄養管理が必要です。医師や看護師、薬剤師と連携を図りながら、必要に応じて栄養指導も行います。病気で思うように食事ができない人がほとんどなので、患者やスタッフとコミュニケーションを取りながら、食欲がない原因を探ったり、食べやすい時間帯を考えたりすることが必要です。
食品メーカー勤務なら研究開発や市場調査など多岐にわたる仕事
食品メーカーの機能性食品を開発する部署に勤めた場合は、商品の企画や研究開発などが主な仕事です。ただし、売れる商品を作りださなくてはいけないので、市場調査などにもかかわる必要があります。栄養面も考慮する必要がありますが、どちらかというと商品価値があるものを生み出す必要があるため、幅広い知識が求められます。
教育機関で働くなら献立作成は栄養面を考えて
保育園や幼稚園、小中学校で管理栄養士として働く場合は、給食の献立作成や食材発注などに携わります。また、給食費や栄養面だけでなく季節や学校行事なども加味した献立作成が必要です。教師や生徒への栄養指導も仕事で、給食の残量を確認しながら適切に指導を行います。調理師と連携を図るのも重要で、現場で働く人の意見を献立に反映させ、子どもたちにベストな給食を提供できるよう改善を重ねていきます。実際に給食を作るのは調理師のため、調理の手間も考えて献立を作らなくてはいけません。
社員食堂や学生食堂は幅広いニーズに合わせた献立作りが必要
社員食堂や学生食堂は昼食を用意できなかったり、手軽に昼食をとりたかったりする職員や学生向けに作られた施設です。そのため、価格や栄養面を考えながら幅広いニーズに合わせた献立を考える必要があります。毎日同じメニューだと飽きてしまうので、「メインのおかずを選べるようにする」「日替わりでメニューを変える」など、変化をつけなくてはいけません。また、社員食堂や学生食堂は外食に比べて安く済ませられるのが魅力のため、価格を考えて食材発注を行います。
社会福祉施設や介護施設では調理法も考える
社会福祉施設や介護施設で働くなら、障害者や高齢者でも食べやすい献立を考える必要があります。一人ひとりの状態に合わせて、食材を細かく刻んだり、流動食にしたりと対応を変えることが大切です。そのため、入居者や利用者の状態をヒアリング調査するのも、管理栄養士の仕事になります。
管理栄養士の就職先とは?
管理栄養士の主な就職先は、病院や学校、福祉施設や介護施設、研究機関、食品メーカーなどです。なかには、行政機関に勤め地域の人の食育イベントを行ったり、アスリートの専属管理栄養士になって選手をサポートしたりする仕事もあります。このように、管理栄養士と一口にいっても勤め先はさまざまです。給与も職場によって異なるので、就職先はよく考えて選びましょう。
勤め先による年収の違い
管理栄養士として働くには、国家資格を取得することが必要です。そのため、仕事に就くには難易度が高い職業だといえます。管理栄養士になるまでは大変ですが、その分他の職種と比べても平均年収は高い傾向です。食品メーカーや介護施設、病院などで働く場合は、平均年収が400万~450万円程度となっています。保育園や行政などで働く際は、平均年収が300万~350万円のため、勤め先によって100万円程度年収が変わることも十分にあるのです。ただし、行政機関で働く場合は初任給が安くても、公務員なので勤続年数が長くなれば長くなるほど年収が上がっていきます。勤続年数が20年を超えると年収は600万円くらいになるため、民間企業に勤めるよりも給与は多くもらえるでしょう。
就職先を探すなら就職窓口や就職情報サイトを活用
管理栄養士に就職したり転職を目指したりするのであれば、各学校に設置されている就職窓口に相談してみましょう。就職窓口では、求人情報が見られるだけでなく過去に卒業生が就職している企業の情報などを教えてもらうことができます。ほとんどの学校が、卒業後も就職先について相談することが可能です。そのため、栄養士養成課程を修了し、実務経験を積んだ後で管理栄養士の資格を取得した人は、卒業した学校の就職窓口に相談すると良いでしょう。もし「卒業後に相談しにくい」「離れた場所に住んでいて就職窓口に行くのが難しい」という場合は、就職情報サイトを活用するのがおすすめです。その他、各都道府県の栄養士会が運営しているホームページで、求人を探すという方法もあります。
管理栄養士の国家試験の受験資格・合格率とは?
管理栄養士の受験資格を得るには、上述したように管理栄養士養成課程を修了、あるいは栄養士養成課程を修了し一定の実務経験を積む必要があります。厚生労働省が公表している「管理栄養士国家試験実施状況」によると、2018年に行われた第32回の受験者数は1万7,222人でした。そのうち、合格者数は1万472人で合格率は60.8%と過半数を超えています。ただし、新卒か既卒かで合格率に大きな差がみられ、新卒のほうが合格率は高い傾向です。
新卒の合格率は9割超え
管理栄養士課程を修了した新卒で管理栄養士を受験した人数は、9,321人で合格者数は8,928人です。なんと、新卒の合格率は95.8%を超えており、勉強時間が取れる学生のうちに受けたほうが合格率は高いことが分かっています。管理栄養士の試験は、毎年1回だけ3月中旬に開催されるので、大学を卒業する直前、あるいは卒業後すぐに受験する人が多い傾向です。そのため、大学3~4年生にかけて試験勉強をする人が多いでしょう。在学中に内定が決まった人は、管理栄養士の資格取得が必須条件となることもあります。大学4年生になると、インターンシップや就活で忙しくなることも考えられるため、できるだけ早くから受験対策をするほうが安心です。
既卒の合格率はいずれも2割と低い
管理栄養士養成課程を修了した既卒で管理栄養士を受験した人数は、1,553人と新卒に比べて受験者数自体が非常に少ない傾向です。そのうち、合格者数は323人で合格率は20.8%ととても低い結果に。同様に、栄養士養成課程を修了した既卒の受験者数は6,348人で、合格者数は1,221人と合格率が19.2%とこちらも低い結果が出ています。学校を卒業した後では思うように勉強時間が確保しにくくなるため、意識的に勉強時間を捻出することが必要です。これらを踏まえると、在学中に栄養学の知識が薄れないうちに、受験するのがベストといえるでしょう。
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まとめ

食生活は、人の生活の中で核になる部分だといえます。「医療の中でも食に関するサポートをしたい」「栄養を考えて健康的に過ごしてもらいたい」と考えている人は、管理栄養士を目指してみてはいかがでしょうか。管理栄養士は、国家資格を取らなくてはいけない職業のため、道は険しいですが、その分資格手当なども出て給与が高くておすすめの職業です。