介護現場の新しい技術 | 転職マニュアル | 医療介護求人 グッピー

政令指定都市の住所データ更新に伴うご確認と修正のお願い

政令指定都市の住所データ更新に伴うご確認と修正のお願い

介護現場の新しい技術
公開日:2025年10月30日
更新日:2025年11月07日
介護現場の新しい技術


少子高齢化が進む日本において、介護人材の確保や介護サービスの質の向上は早急に対処しなければならない課題です。その課題の解決方法の一つとして期待される「介護ロボット」について、その概要や必要とされる背景を解説します。

介護ロボットの重要性

介護ロボットとは

介護ロボットは、介護現場において利用者の自立支援やサービスの質の向上、職員の負担軽減のために活用される機械システムです。


・情報の感知(センサー系)

・判断(知能・制御系)

・動作(駆動系)

これら3つの要素技術を有する知能化した機械システムが「ロボット」と定義されており、そういったロボットの中で介護現場で活躍するものを「介護ロボット」と呼びます。

💡一般的なロボットでイメージされるより広い意味での機械システムを意味するものです。


介護ロボットが必要とされる背景

介護ロボットが必要とされる背景には、介護ニーズの急増と介護人材の人手不足という問題があります。

2018年に公表された「第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について(平成30年5月21日)」では、2025年に団塊の世代がすべて75歳以上となり、2025年度末には約245万人の介護人材数が必要になると推計されています。また、75歳以上の人の割合は2060年にかけて今後も上昇し、それに伴い生産年齢人口(15~64歳)は減少を続けるであろうことも予測されています。

このような課題を抱える中、介護人材の人手不足を補い、サービスの質の向上を図るために活用が期待されているのが、介護ロボットです。介護ロボットの普及・活用を進めることで、介護職員の負担軽減や業務の効率化、利用者満足度の向上が期待されています。

介護ロボットの種類

介護ロボットは種類があり、6つに大別することができます。

  • 見守り支援
  • 移乗支援(装着型)
  • 移乗支援(非装着型)
  • 排泄支援
  • 介護業務支援
  • インカム

ここからは、それぞれの特徴を解説します。

見守り支援

見守り支援ロボットは、センサーや外部通信機能を備えたロボットです。主に、施設用、在宅用、生活支援用の3つに分けることができます。

施設用の見守り支援ロボット:離床時や夜間の排泄タイミングの把握、看取り期の身体状況の把握、利用者の生活を妨げずに行う状況の把握などに活用されます。在宅用の見守り支援ロボットは、転倒検知センサーや体調の変化に関する情報提供といった機能が備わっており、老々介護を行う家庭や、日中を高齢者一人で過ごす家庭、高齢者の一人暮らしといった場面で、生活状況の把握や事故などの早期発見のために用いられます。

生活支援用の見守り支援ロボット:生活を見守ることに加え、コミュニケーションを通じた支援も行うロボットです。会話や外出の促し、薬の飲み忘れ防止のための確認などを行うことで、高齢者の自立支援を促します。

移乗支援(装着型)

移乗支援(装着型)ロボットは、介助者のパワーアシストを行う装着型の機器です。介助者が装着することで、利用者の移乗介助の際の足腰の負担を軽減することが本来の目的ではありますが、機器によっては排泄介助やおむつ交換、シーツ交換、搬出入作業など、そのほかの力仕事に活用することもできます。

移乗支援(非装着型)

移乗支援(非装着型)ロボットは、介助者の移乗支援をするための、非装着型のパワーアシスト機器です。立ち上がる際の身体の動きをサポートすることで利用者が自力で立ち上がることを支援する機器や、ベッドから車いすに変形する機器など、さまざまな種類があります。

排泄支援

排泄支援ロボットは、利用者の排泄を支援するためのロボットです。主に「排泄物処理」「トイレ誘導」「動作支援」の3つの支援タイプがあります。

排泄物処理ロボット:ベッドの近くなどに備えておくことで、室内での排泄を可能にするものです。排泄物の密閉や隔離といった機能を備えており、活用することで移動による転倒や、一人で排泄できることによる自尊心の保護が可能になります。

トイレ誘導ロボット:生体情報等に基づいた排尿または排便の予測とトイレへの誘導、

動作支援ロボット:トイレ内での着脱や立ち座りといった動作の支援を行います。

介護業務支援

介護業務支援ロボットは、見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積することで、必要な支援を行うための機器です。機器により収集される情報や収集方法は異なりますが、蓄積された情報により、より良いケア方法の検討や介護記録の自動作成、複数の介護ロボットの一元管理などが可能になります。

インカム

インカムは、即時通信や一斉通話が可能な通信機器です。介護現場では、離れた場所にいる職員への呼びかけや、職員全員への迅速な連絡のために活用されます。何かトラブルが起こった際にもその場を離れずに通信が可能なため、安全性の向上と業務の効率化に大きく貢献します。

介護ロボット導入で期待できる効果

介護ロボットを導入することには、さまざまなメリットがあります。代表的な期待できる効果について解説します。

  • 働きやすさの向上と採用コストの削減
  • サービスの質の向上
  • 生産性の向上

働きやすさの向上と採用コストの削減

介護ロボット導入により期待できる効果の一つ目は、職員の定着率の向上による採用コストの削減です。介護ロボットを導入することで職員の精神的・身体的負担が軽減されて定着率がアップすれば、その分人材採用にかかるコストを抑えることができます。

サービスの質の向上

介護ロボットの導入は、介護を受ける利用者の方にとってもメリットがあります。ロボット導入により、必要なタイミングで迅速にサポートを受けられるようになったり、一部の動作を職員に頼らずにできるようになったりすることで、身体的にも精神的にも負担を軽減することができます。

生産性の向上

介護ロボットを導入することで、業務にかかっていた時間を削減できたり、複数人で行っていた業務を一人で行えるようになったりします。このような直接的な業務効率の向上効果のほか、介護ロボット導入をきっかけに作業手順の見直しが行われるなど、間接的な業務効率の向上効果もあります。


医療福祉系求人サイトGUPPY

登録してスカウトを受け取る

\事業所が一通ずつスカウト送信/

介護ロボット導入のポイント

施設が抱えている課題に沿って導入する介護ロボットの種類や台数などを決定するのはもちろんですが、何よりも大切なのは介護ロボットを活用して施設の課題を解決していくことです。PDCAサイクルに沿った、介護ロボット導入による課題解決のポイントを解説します。

課題の見える化と実行計画(PLAN)

まず行うべきは、介護ロボットを導入するための準備です。施設において、どのような課題があるのか、どのような介護サービスを提供していきたいのかをチームメンバーで話し合い、課題を見える化しましょう。そのうえで、その課題を解決することのできる介護ロボットを検討します。使用方法や仕様、目的、対象者などをよく確認したうえで、実際に導入した場合のことを想像し、どのようにオペレーションしていくのかを細かく想定しておくことが大切です。また、介護ロボット導入によって期待できる効果などに関して、評価項目も設定しておきましょう。

改善活動への取り組み(DO)

介護ロボットを導入した後は、職員や利用者への研修やレクチャーを十分に行ってから、実際に活用を開始します。特に導入直後は、高い頻度でミーティングや情報交換を行うことで、介護ロボットを安全に、より効果的に使用できるようになります。

改善活動の振り返り(CHECK)

一定期間使用したうえで、介護ロボット導入による改善活動の振り返りを行いましょう。事前に設定した評価項目などに沿い、利用者への効果・職員への効果・組織への効果の3つの観点から、うまくいった点やいかなかった点を定量評価していきます。

実行計画の練り直し(ACTION)

振り返りをもとに、実行計画を練り直します。うまくいかなかった点は、その原因をチームメンバーで議論し、より良い活用方法を探りましょう。うまくいった点に関しては、より効果的に活用できるよう、さらなる課題やより効果的な使い方を検討しましょう。

介護ロボットの導入事例

介護ロボットを導入することにより、業務効率化やサービスの質の向上を実現している施設は多々あります。実際に介護ロボットを導入している施設の活用事例を解説します。

見守り支援

転倒や転落を未然に防ぐこと・転倒や転落の原因を検証することの難しさが課題だった特別養護老人ホームでは、見守り支援ロボットを導入することでその状況を改善しています。

介護ロボット導入により、職員が訪室していない場合でも、部屋の中の状況を可視化することができ、適切なタイミングで必要なケアを提供できるようになったと全職員が回答しています。

→この効果により、定時巡視の頻度も大幅に減らすことができ、職員の業務効率化や負担軽減にもつながっています。

移乗支援(装着型)

移乗支援(装着型)ロボットを導入した介護老人保健施設では、それまで2人で行っていた大柄な利用者のトイレ介助を職員一人で行えるようになったという結果が出ています。

以前は、トイレへの誘導が難しい場合はベッド上でのパッド交換となっていましたが、小柄な職員一人でも介助を行えるようになったことで、定時でのトイレ誘導を実施することができるようになり、利用者の自立支援にもつながっています。

移乗支援(非装着型)

移乗支援(非装着型)ロボットを導入した施設の多くが、利用者の離床時間が増加したことを報告しています。離床時間の増加は、周囲とのコミュニケーションの増加やアクティビティへの参加時間の増加などにもつながっています。

排泄支援

排泄介助を2名体制で行っていた特別養護老人ホームでは、排泄支援ロボットを導入したことでその人数を一人に減らすことができました。これにより、それまでは職員が2名そろわないとできなかった排泄介助をより適切なタイミングでできるようになり、介助にかかる体力や時間も削減されています。

介護業務支援

これまでパソコンやタブレットのみで介護業務記録を行っていた複数の施設が、介護業務支援ロボットを導入することで業務効率化を実現しています。スマホを利用して音声入力やその場での記録が可能になったことで、業務時間の短縮を実現することができました。

インカム

インカムを導入した施設の多くは、職員同士の連絡・相談にかかる時間や、施設内で職員を探すためにかかる時間を削減できるようになったと報告しています。持ち場を離れずに連絡が可能になったことで、緊急時の迅速な対応や効率的な情報共有が可能になっています。

介護ロボットの展望と課題

介護ロボットは、少子高齢化が進む日本の介護現場において、職員の業務負担の軽減や利用者の満足度向上、施設の生産性向上を可能にします。しかし、導入コストの高さや操作の難しさにより、思ったようには普及が進んでいないのが現状です。量産化や技術革新、国からの助成による導入コストの削減や、デジタル技術に慣れていない人でも使いやすい操作性などの追求が今後も必要になるといえるでしょう。


医療福祉系求人サイトGUPPY

登録してスカウトを受け取る

\事業所が一通ずつスカウト送信/