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2025年の育児・介護休業法改正で何が変わる?主要ポイント徹底解説
公開日:2025年10月30日
更新日:2025年11月04日
2025年の育児・介護休業法改正で何が変わる?主要ポイント徹底解説

育児・介護休業法とは?

育児・介護休業法は、育児や介護を行う労働者の雇用継続と再就職の促進、家庭と仕事の両立をサポートすることを目的とする法律です。正式名称を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といい、少子高齢化や共働き世代の増加といった社会的な変化を背景に1991年に制定されました。

育児・介護休業法では、「育児休業」「子の看護休暇」「介護休業」「介護休暇」といった休業・休暇制度や、「育児・介護を容易にするため所定労働時間等の措置」「育児・介護を行う労働者に対する支援措置」などの措置制度が定められています。

育児・介護休業法改正の目的・背景

2024年5月に育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法が改正され、2025年4月から段階的な施行が予定されています。

2025年4月から変更されるポイントは?

改正の概要として挙げられているのは

・子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

・育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化

・介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

の3つです。その背景には、日本の生産年齢人口の減少、女性が抱える仕事と育児の両立の難しさ、男性の育児休業取得水準の低さ、介護離職者の増加といった問題があり、このような問題を解消し、男女ともに安心して働き続けられる社会をつくることが今回の改正の目的となっています。

参考サイト:
育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
育児・介護休業法のあらまし
育児・介護休業法について

次世代育成支援対策推進法とは

育児・介護休業法とともに次世代育成支援対策推進法も改正が行われました。次世代育成支援対策推進法とは、次世代の社会を担う子供の健全な育成を支援するための法律です。

今回の改正のポイントは「育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定の義務付け」となっており、従業員数100人超の企業は、一般事業主行動計画策定時に「計画策定時の育児休業取得状況や労働時間の状況把握等(PDCAサイクルの実施)」「育児休業取得状況や労働時間の状況に関する数値目標の設定」が義務付けられることになります。

2025年4月1日施行:育児・介護休業法改正のポイント

男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにすることが、今回の育児・介護休業法改正の目的です。具体的にどのような改正が予定されているのかを解説します。

参考サイト:育児介護休業特設サイト

育児と仕事の両立支援制度はどう変わる?

子の看護休暇の見直し

改正前は「子の看護休暇」だった名称が「子の看護等休暇」に変更となり、対象となる子の範囲も「小学校就学の始期に達するまで」から「小学校3年生修了まで」に延長されます。

また、取得事由として

・感染症に伴う学級閉鎖等

・入園(入学)式、卒園式

が追加されます。

さらに、これまでは「引き続き雇用された期間が6か月未満」「週の所定労働日数が2日以下」の労働者は労使協定の締結により除外できましたが、「引き続き雇用された期間が6か月未満」は撤廃され、「週の所定労働日数が2日以下」の労働者のみが除外できる対象となります。

所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

改正前は「3歳に満たない子を養育する労働者」が、請求すれば所定外労働の制限(残業免除)を受けることが可能とされていましたが、改正に伴い「小学校就学前の子を養育する労働者」が請求可能になります。

短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加

改正前は「育児休業に関する制度に準ずる措置」と「始業時刻の変更等」が短時間勤務制度の代替措置となっていましたが、これらに加え「テレワーク」が追加されます。代替措置は、3歳に満たない子を養育する労働者に関し短時間勤務制度を講ずることが困難な場合に適用されます。

育児のためのテレワーク導入

3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。

育児休業取得状況の公表義務適用拡大

これまで「従業員数1,000人超の企業」が対象だった育児休業取得状況の公表義務が、「従業員数300人超の企業」に拡大されます。対象となる企業は、年に1回、公表前事業年度の終了後おおむね3か月以内に、インターネットなどの一般の方が閲覧できる方法で、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」を公表する必要があります。

介護と仕事の両立支援制度はどう変わる?

介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

改正前は「週の所定労働日数が2日以下」または「継続雇用期間6か月未満」の労働者は、介護休暇を取得できる労働者として除外することができましたが、改正後は「週の所定労働日数が2日以下」の労働者のみが除外できる対象となります。

介護離職防止のための雇用環境整備

介護休業や介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるよう、事業主は「介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施」「介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)」「自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供」「自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知」のいずれかの措置を講ずる必要があります。1つ以上の措置を講ずることが義務となっていますが、より望ましいのは複数の措置を講ずることとされています。

介護離職防止のための個別の周知・意向確認等

介護に直面した旨の申出をした労働者に対し、面談・書面交付・FAX・電子メール等のいずれかの方法で、「介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)」「介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)」「介護休業給付金に関すること」の周知と、介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認を個別に行う必要があります。

また、労働者が介護に直面する前の早い段階で、事業主は介護休業制度等に関する情報提供をする義務があります。情報提供期間は「労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間)」もしくは「労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間」となっており、「介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)」「介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)」「介護休業給付金に関すること」の周知が義務付けられています。

介護のためのテレワーク導入

要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。

2025年10月1日施行:育児・介護休業法改正のポイント

次に、2025年10月1日から施行されるポイントを解説します。

柔軟な働き方を実現するための措置等

育児期の柔軟な働き方を実現するための措置を講ずることと、その措置内容に関する個別の周知・意向確認が義務化されます。事業主は「始業時刻等の変更」「テレワーク等(10日以上/月)」「保育施設の設置運営等」「就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年)」「短時間勤務制度」の中から2つ以上を選択して講ずる必要があり、労働者はその措置から一つを選択して利用することができます。

仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮

事業主は、労働者からの妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に「勤務時間帯(始業および終業の時刻)」「勤務地(就業の場所)」「両立支援制度等の利用期間」「仕事と育児の両立に資する就業の条件(業務量、労働条件の見直し等)」について意向聴取を行い、その意向に対する配慮を行う必要があります。具体的な配慮の例としては「勤務時間帯、勤務地にかかる配置」「両立支援制度等の利用期間等の見直し」「業務量の調整」「労働条件の見直し」などが挙げられます。

育児・介護休業法改正のために企業が対応すべきこと

事業主や人事担当者は、育児・介護休業法改正についての理解を深め、準備を進めておく必要があります。求められる主な対応を解説します。

企業の就業規則改定に必要な対応とは?

「子の看護休暇の見直し」「所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大」「育児・介護のためのテレワーク導入」「柔軟な働き方を実現するための措置等」といった改正点に対応するうえで、就業規則の見直しと整備が必要になります。

労働基準法により、就業規則は事業場を管轄する労働基準監督署に届け出を行うことが義務付けられていますので、改正後は速やかに届出を行う必要があります。届け出の明確な期限は設けられていないため、施行前に届け出を行っても問題ありません。また、従業員への情報提供資料や意向確認資料を用意することも必要です。

従業員への周知と研修

育児・介護休業法の内容や改正点などの理解を深めてもらうために、就業規則における変更点の周知や研修を行います。特に、リーダー職や管理職といった部下を持つ立場の従業員が、育児・介護休業法の内容や目的について理解を深めることは重要です。制度を利用しやすい環境づくりを進めることで、安定して働き続けられる職場づくりに努めます。

テレワーク環境の整備

育児・介護休業法の2025年改正点のポイントの一つが、テレワークの導入です。導入にあたり企業側は、従業員が一定の水準でテレワークを実施できるよう、環境を整備する必要があります。パソコンやインターネット環境の整備、セキュリティ対策、オンラインでの勤怠管理システムの整備などを進めましょう。テレワーク導入にあたっては、国や地方自治体が補助金制度を設けていますので、それらも参考になります。

まとめ

育児・介護休業法の改正により、男女ともに仕事と育児・介護を両立するための措置拡充や雇用環境整備などが2025年4月から段階的に施行されます。看護休暇の対象となる子の範囲拡大や残業免除の対象拡大、テレワーク導入や柔軟な働き方を実現するための措置など、実務への影響範囲が大きい改正ではありますが、環境整備を行うことで離職率の低下や業務の生産性向上につながる可能性もあります。まずは制度への理解を深めるとともに対応すべきことをきちんと整理し、必要となる準備を一つひとつ進めていきましょう。