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スクールソーシャルワーカーの基本とその役割を解説します
公開日:2025年05月01日
更新日:2025年05月27日
スクールソーシャルワーカーの基本とその役割を解説します

スクールソーシャルワーカーとは?

昨今の教育現場では、いじめや不登校、暴力や貧困など家庭の問題、児童や生徒を取り巻く問題は多種多様です。そういった問題の解決を図るスクールソーシャルワーカーについて、基本的な役割やスクールカウンセラーとの違いなどを解説します。

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スクールソーシャルワーカーの基本的な役割

スクールソーシャルワーカーは、児童や生徒が抱えている問題の解決を図る仕事です。いじめや不登校、虐待、貧困といった学校や家庭における問題を解決するために、教員や家族、医療機関などと連携をとりながら児童や生徒を支援します。

スクールカウンセラーとの違い

スクールソーシャルワーカーと混同されやすい職業に、スクールカウンセラーがあります。スクールカウンセラーとは、主にカウンセリングなどによって児童・生徒の心理的なサポートを行う仕事です。それに対しスクールソーシャルワーカーは児童・生徒が置かれている環境に働きかけることで問題解決を図ります。どちらも児童や生徒の問題解決のためのサポートを行うという点は共通ですが、そのアプローチ方法が異なっています。

スクールソーシャルワーカーが必要な理由

いじめや不登校といった児童・生徒が抱える問題の背景には、心の問題だけでなく、児童・生徒を取り巻く環境問題があります。また、それらの環境問題は、家庭や学校、地域、友人関係などが複雑に絡み合っていることが多く、複数の要因に対して働きかけを行う必要があります。環境への働きかけを主なアプローチ方法とするスクールソーシャルワーカーはそういった現代の教育問題解決において欠かせない立場となっており、コーディネーター的な役割が求められています。


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スクールソーシャルワーカーの主な職務内容

スクールソーシャルワーカーは、児童や生徒の心理的ケアとともに、取り巻く環境への働きかけを行います。その具体的な職務内容を解説します。

問題を抱える児童生徒が置かれた環境への働き掛け

児童・生徒が抱えるいじめや不登校、暴力・虐待といったさまざまな問題に対し、カウンセリングやヒアリングを通して状況を整理し、家族や友人、学校、地域住民などへの働きかけを行うことによって問題解決を図ります。

関係機関等とのネットワークの構築、連携・調整

児童・生徒が抱える問題を解決に導くためには、各種関係機関との連携が必要です。抱えている問題の種類に応じて医療機関や教育機関、児童相談所、自立相談支援機関といった関係機関と児童や生徒をつなぐことで、問題解決を図るのもスクールソーシャルワーカーの仕事です。また、単に紹介するだけでなく、その後も継続した支援を行えるようネットワークの構築を図ります。

学校内におけるチーム体制の構築、支援

問題を抱えている児童・生徒がいる学校内において、必要な支援がよりよく行われるようにチーム体制の構築を行うのもスクールソーシャルワーカーの仕事です。会議に参加したり、教職員へのアドバイスや指導を行ったりすることで問題解決をサポートします。また、児童・生徒からの相談を受けたり、問題が起きていないかアンケートを行ったりもします。

保護者、教職員等に対する支援・相談・情報提供

児童・生徒が抱える問題を解決するためには、彼らを取り巻く家族や教職員等の問題にも寄り添う必要があります。家族や教職員からの相談を受けたり、必要な情報を提供したり、家族と教職員との橋渡しをするのもスクールソーシャルワーカーの大切な役割です。

教職員等への研修活動等

スクールソーシャルワーカーは、教職員や保護者に向けた研修等も行います。社会福祉の専門家として、家庭や学校で起こりうる問題や社会福祉に関する情報提供を行う役割が求められています。

スクールソーシャルワーカーになるには

スクールソーシャルワーカーになるために必須の専門資格はありませんが、「教育と福祉の両面に関して、専門的な知識・技術を有するとともに、過去に教育や福祉の分野において、活動経験の実績等がある者」が推奨されており、教育・福祉分野での経験と関連資格が求められることがほとんどです。多くの職場で必要とされる資格やスキルについて解説します。

スクールソーシャルワーカーに必要な資格

スクールソーシャルワーカーを募集しているほとんどの職場では、「社会福祉士」「精神保健福祉士」「公認心理師」のいずれかの資格が求められます。これらの資格を保持していることで、教育や福祉における一定以上の知識・技術を有していることが証明できます。

スクールソーシャルワーカーに向いている人

スクールソーシャルワーカーとして児童・生徒の問題解決を図るためには、コミュニケーション能力や情報収集スキルが欠かせません。児童や生徒、保護者や教職員などの気持ちに寄り添い、悩みや置かれている状況を把握し、得られた情報から必要な対応を探っていく必要があります。教職員や関係機関との連携も不可欠なため、チームワーク能力も大切です。


また、臨機応変で冷静な判断・対応ができる人も、スクールソーシャルワーカーの適性があるといえます。例えば「不登校」という問題一つをとっても、児童・生徒が抱える問題は多種多様であり、決められたケースに当てはめることはできません。扱う問題によっては、感情的になってしまったり、特定の人物に感情移入してしまったりすることもあるかと思いますが、そのような場面でも冷静に問題解決を図ることが大切です。

スクールソーシャルワーカーの仕事の探し方

スクールソーシャルワーカーの求人は、主に自治体のホームページやハローワークなどで探すことができます。求人数としてはあまり多くないため、仕事を探している場合にはこまめに求人情報をチェックするようにしましょう。

また、スクールソーシャルワーカーの配置方法は、主に4つの形式に分かれています。具体的には、1つの学校に配置される「単独校型」、拠点となる学校とその近隣の学校が対象となる「拠点校型」、教育委員会等に所属し必要に応じて派遣される「派遣型」、教育委員会等に所属し対象となる学校等を巡回する「巡回型」となっており、自治体によってどの形式かは異なります。スクールソーシャルワーカーの仕事を探している方は、希望する自治体の形式を確認してみましょう。

スクールソーシャルワーカー活用事業とは

児童・生徒が抱える問題の増加に対処するため、文部科学省は2008年よりスクールソーシャルワーカー活用事業を進めています。その概要を解説します。

スクールソーシャルワーカー活用事業の趣旨

スクールソーシャルワーカー活用事業は、いじめ、不登校、暴力行為、児童虐待といった児童・生徒の問題行動の解決を図るために始まった事業です。教育分野に関する知識に加えて、社会福祉等の専門的な知識や技術を有するスクールソーシャルワーカーを活用し、問題を抱えた児童・生徒に対し、当該児童・生徒が置かれた環境へ働き掛けたり、関係機関等とのネットワークを活用したりするなど、多様な支援方法を用いて、課題解決への対応を図っていくことが求められています。

スクールソーシャルワーカー活用事業の内容

スクールソーシャルワーカー活用事業では、「スクールソーシャルワーカーの配置」「スーパーバイザーの配置」「研修・連絡協議会の開催」を行うことで、児童・生徒が抱える問題解決を図ります。スーパーバイザーとはスクールソーシャルワーカーに対して適切な援助ができる経験とスキルを持った者のことであり、スクールソーシャルワーカーへの指導や助言、活動状況の取りまとめや方向性の検討など、問題解決のために必要だと思われることを行います。

スクールソーシャルワーカーの対応実績

スクールソーシャルワーカー活用事業により、スクールソーシャルワーカーの対応実績は年々増加しています。2012年度のスクールソーシャルワーカー人数は784人、対応学校数は6,507校だったのに対し、2022年度にはスクールソーシャルワーカー人数が3,241人、対応学校数が20,258校となっています。

スクールソーシャルワーカーの重点配置とは

スクールソーシャルワーカーの重点配置とは、貧困、虐待、いじめ・不登校等の課題を抱える児童生徒の早期発見・早期対応のため、特に必要な学校等に対し、スクールソーシャルワーカーの配置時間を拡充することです。通常配置の場合は「42週×週1日×3時間」ですが、1校申請ごとに年間120時間分の加算が可能になります。

スクールソーシャルワーカーの活動事例

スクールソーシャルワーカー活用事業による取り組み事例を解説します。

生活困窮世帯を支援するための活用事例

欠席が多く、特別支援学級に在籍している児童に対する事例では、保護者に医療福祉制度やフードバンク等の利用を働きかけるとともに、PCを用いた学習支援を受けられるよう、PCやネット接続機器の無償貸与している団体とつなげたことで、登校への不安が徐々に解消されていったという変化がありました。また、不信感により地域から孤立していた母親も関係機関とのコミュニケーションがとれるように変化しています。

ヤングケアラ―についての活用事例

小学校に通う2人のきょうだいの事例では、保護者に精神不安があるために上の子が食事を作ったり、家の中がごみであふれかえっていたりという問題があり、複数回のケース会議や学校からの迎え、施設入所も視野に入れた支援などが続けられています。上の子の状況は改善しているものの、母親が就職したことで下の子の生活リズムが乱れてきており、各機関による継続した支援が必要な状況です。

不登校事象についての活用事例

コロナ休校明けから休みがちになり、別人のように陰鬱な雰囲気となっていた子の事例では、ストレスを受けている原因を探ったうえで支援方針を学校とともに考え、ストレスの原因となっていた保護者へ支持的支援を継続することや、家庭訪問により関係を作っていくことで状況改善に取り組みました。その後、毎日ではありませんが登校できる日が増えてきています。


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スクールソーシャルワーカー活用事業における今後の課題

教育・福祉におけるさまざまな問題を解消するうえで重要な役割を果たすスクールソーシャルワーカーですが、スクールソーシャルワーカー活用事業を推進するうえでは課題もあります。今後の事業における課題を解説します。

教育現場でのスクールソーシャルワーカーの定着

開始当初は派遣型を採用する自治体が多かったスクールソーシャルワーカー活用事業ですが、徐々に「単独校型」「拠点校型」「巡回型」も増えてきています。これにより、教育現場で活動する時間が増え、児童・生徒や教職員とのコミュニケーションの拡充やチーム体制作りがより円滑に行えるようになってきています。教育現場での活動時間の増加は、問題への迅速な対応にもつながるため、今後のさらなる定着が望まれます。

安定した雇用による優秀な人材の確保

スクールソーシャルワーカーのほとんどは非正規雇用であり、定年退職者のセカンドキャリアとして60 代以上のスクールソーシャルワーカーが4割を占めているのが現状です。若手も含めた優秀な人材を確保していくためには、正規雇用・常勤雇用を増やしていく必要があります。

人材育成のための環境整備

正規雇用・常勤雇用の拡大を進めることとともに大切なのが、優秀な人材育成のための環境整備です。現状はスクールソーシャルワーカーに対する研修・教育制度が用意されていない自治体が多く、若手のスクールソーシャルワーカーがキャリアを積み重ねていく環境が整っていません。待遇面とともに育成環境の面も整えることで、優秀な人材確保につなげていく必要があります。

よくある質問

Q. 社会福祉士の資格があればスクールソーシャルワーカーになれますか?

はい、社会福祉士の資格はスクールソーシャルワーカーの応募条件として広く求められています。精神保健福祉士や公認心理師など、福祉・心理系資格をお持ちの方も求人に応募しやすくなります。

Q. スクールソーシャルワーカーとしての経験を活かせる職場は他にもありますか?

児童福祉施設や教育支援センター、医療機関の相談員なども、スクールソーシャルワーカーとしての経験が活かせる職場です。GUPPYでは、幅広い分野での福祉専門職求人を掲載中です。

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