薬剤師の時給はどれくらい?地域別の平均時給や傾向を解説
薬剤師は、医薬品全般について幅広い知識を持ち、調剤や服薬指導などを通じて人々の健康をサポートする薬の専門家です。大学の薬学部を卒業し、薬剤師国家試験に合格することで、薬剤師として働いていくことができます。
雇用形態に関しても正社員から派遣社員、パート・アルバイト勤務までさまざまです。この記事では、パート・アルバイトとして短時間で勤務する場合の時給相場についてまとめます。
求人のリアルな薬剤師の平均時給
求人サイト GUPPY の求人データにおける薬剤師の平均時給は、2025 年時点の全国的な傾向として、おおむね2,000円〜2,600円前後で推移しています。2023 年と比較すると、全体的に緩やかな上昇が見られ、地域によっては200円以上の伸びを示すケースもあります。
なお、平均時給は求人数や雇用形態、勤務エリアの需要など複数の要因に左右されるため、あくまで全体傾向としてご参考ください。
| 2023年 | 2024年 | 2025年 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 下限 | 上限 | 下限 | 上限 | 下限 | 上限 | |
| 全国平均 | ¥2,058 | ¥2,543 | ¥2,077 | ¥2,602 | ¥2,106 | ¥2,545 |
| 東京 | ¥2,046 | ¥2,549 | ¥2,102 | ¥2,497 | ¥2,267 | ¥2,610 |
| 大阪 | ¥2,022 | ¥2,475 | ¥2,072 | ¥2,537 | ¥2,105 | ¥2,407 |
地域別の時給相場
地域別に平均時給(2024年)を見た場合、下限額は2,252円の九州、上限額は 2,822 円の四国がそのほかの地域よりも高いという結果になっています。
| 2023年 | 2024年 | |||
|---|---|---|---|---|
| 下限 | 上限 | 下限 | 上限 | |
| 北海道 | ¥1,886 | ¥2,313 | ¥1,981 | ¥2,458 |
| 東北 | ¥2,022 | ¥2,465 | ¥2,085 | ¥2,567 |
| 関東 | ¥2,105 | ¥2,649 | ¥2,130 | ¥2,584 |
| 中部 | ¥2,007 | ¥2,645 | ¥1,965 | ¥2,820 |
| 近畿 | ¥1,980 | ¥2,394 | ¥2,046 | ¥2,482 |
| 中国 | ¥2,001 | ¥2,164 | ¥2,132 | ¥2,408 |
| 四国 | ¥1,958 | ¥3,076 | ¥1,930 | ¥2,822 |
| 九州 | ¥2,062 | ¥2,640 | ¥2,252 | ¥2,777 |
| 沖縄 | ¥2,500 | - | ¥2,175 | ¥2,500 |
・2023 年 → 2024 年:全地域で緩やかな上昇。特に中国・九州で顕著。
・四国・中部など、一部地域では上限が下がるなど調整の動きも見られる。
※時給は地域差に加え、企業規模や雇用形態、給与体系によっても大きく変動するため、 薬剤師求人を探す際には、昇給制度や各種手当の有無もチェックすることがポイントです。
薬剤師の時給の推移(厚生労働省調査)
賃金構造基本統計調査によると、薬剤師の平均時給は 2020年から2024年までの 5年間で約290円上昇しています。 この時給上昇は、2022年に実施された調剤報酬改定による評価の見直しや、対人業務・コミュニケーションスキルの重要性の高まりが影響していると考えられます。
| 平均時給 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|---|---|
| ¥2,349 | ¥2,414 | ¥2,903 | ¥2,845 | ¥2,639 |
この大幅な時給の上昇は、2022 年に行われた調剤報酬改定や対人業務・対人スキルの重要性の増加などが影響していると考えられます。2024 年の診療報酬改定においても、医療従事者の処遇改善に重点が置かれていることから、薬剤師の時給は今後も上昇を続けていくであろうと予想されます。
薬剤師の給料は何で決まる?
薬剤師の給料は、働く地域や勤務場所、専門資格の有無などによって変動します。薬剤師の給料に影響を与える代表的な要素を解説します。
勤務する地域
薬剤師の給料は、都市部よりも地方のほうが高い傾向にあります。これは、薬剤師の人手不足が影響していると考えられます。
前述したように、地方だからといってすべての薬局で薬剤師の時給が高い傾向にあるわけではありませんが、近くに薬学部がない地域など、薬剤師の確保が難しい地域にある薬局は時給も高めに設定されている傾向にあるため、薬剤師として収入のアップを目指したい場合には勤務地の幅を広げてみるのもおすすめです。
勤務先の業種
薬剤師の給料は、調剤薬局やドラッグストア、病院といった勤務場所によっても異なります。この中で給料が高い傾向にあるのは、ドラッグストアです。特にチェーン展開をしている大手のドラッグストアの場合、店舗数の多さや規模の大きさに伴って薬剤師の必要数も多くなるため、人手不足を補おうと高時給で求人を出している傾向にあります。
病院薬剤師は給与は低い傾向にありますが、より深く患者さんとかかわることができ、医師や看護師のサポートも含め幅広い業務に携われるという魅力があります。
雇用形態
薬剤師の給料は、雇用形態によっても異なります。主な雇用形態には正社員・派遣社員・パート・アルバイトがありますが、この中で最も年収が高い傾向にあるのは派遣社員です。派遣社員の場合、時給が 2,700 円~ 3,000 円程度に設定されていることも多く、手取り月収では 35 万円ほどとなることもめずらしくありません。
正社員の場合は、派遣社員よりも月収は少し少なくなることが多いですが、その分安定的な雇用を見込むことができ、ボーナスや退職金が用意されているため年収としてはほかの雇用形態よりも高くなります。パート・アルバイトの場合は、正社員や派遣社員よりも月収・年収ともに低くなることがほとんどですが、勤務時間を柔軟に設定できたり、休みがとりやすかったりといった魅力があります。
経験年数・役職
薬剤師の給料は、経験年数や役職の有無によっても変動します。特に、チェーン展開をしているドラッグストアや調剤薬局などで経験を積み、管理薬剤師(店長)やエリアマネージャーなどになると、大幅な年収アップが目指せます。
一般薬剤師の平均年収が486 万円なのに対し、管理薬剤師の平均年収は735 万円です。また、この場合の年収は、店舗数の多い薬局よりも店舗数の少ない薬局のほうが高い傾向にあります。
資格の有無
認定薬剤師をはじめとした資格を取得しているかどうかも、給料に影響します。
認定薬剤師資格には「研修認定薬剤師」「在宅療養支援認定薬剤師」「緩和薬物療法認定薬剤師」「がん薬物療法認定薬剤師」「漢方薬・生薬認定薬剤師」といったさまざまな種類があり、資格を取得することでその分野の専門性を高めることができます。資格を取得することで、資格手当の支給や、昇給・昇格も見込めます。
薬剤師が給料アップを目指すには
薬剤師としての専門性を活かしながら給料をアップしたいと考えた場合、どのような方法があるのでしょうか。代表的な 3 つの方法について解説します。
現在の職場で昇給・昇格を目指す
薬剤師が給料アップを目指す方法として最もベーシックなのは、現在働いている薬局やドラッグストア、病院などで昇給・昇格を目指すという方法です。管理薬剤師やエリアマネージャーへ昇進することで、大幅な年収アップが目指せます。
また、すぐには昇給や昇格が難しいという場合やパート・アルバイト勤務のため昇給や昇格が望めないという場合、人手の少ない時間帯に働いたり、人手の少ない地域への異動を検討したりすることで年収アップが見込める可能性があります。
認定薬剤師資格を取得する
専門的な知識や技術を持つ薬剤師に与えられる「認定薬剤師」は、取得することで薬局や病院内での信頼性が高まり、昇給や昇格につながりやすくなる資格です。資格取得には定められた単位を期間内に取得する必要があり、ある程度の期間と労力が必要になりますが、スキルアップや昇給・昇格が見込めるだけでなく、仕事へのモチベーションアップにもつながります。
転職をして年収アップを目指す
できるだけ早く年収をアップしたいという場合、転職が有効な選択肢です。
・薬剤師が不足している地域にある薬局
・時給を高めに設定している薬局を調べる
年収や時給だけで転職先を検討することにはリスクが伴います。 業務量の多さや休みの取りづらさといったマイナスの部分についても入社前に情報収集しましょう。

