薬剤師の将来性はどうなる? | 教えてグッピー
2025年10月24日更新

薬剤師の将来性はどうなる?

薬剤師の将来性

「薬剤師の将来がどうなるか心配」といわれることもありますが、本当にそうなのでしょうか。薬剤師の需要と供給の予測、テクノロジーの進化が薬剤師業界に与える影響から、薬剤師の将来性を考えていきたいと思います。

薬剤師を取り巻く現状

薬剤師の需要は増えている?減少している?

薬剤師の需要は今後も緩やかに増えていくと予想されていますが、供給の伸び率は需要を大幅に上回ると考えられています。

薬剤師の需給推計

そのため、需要と供給の差が大きくなる2030年ごろからは薬剤師が余るという状況が顕著になる可能性があります。その一方で、薬局では充足しているにもかかわらず病院では不足するといった、業態ごとや地域ごとの偏在も懸念されます。

また、入院日数の削減などにより外来や在宅で治療を行う人も増えていきます。超高齢化社会の中で薬剤師として生き残っていくためには、薬剤師として必要とされている役割を見極めて行動していく必要があるといえるでしょう。

薬剤師の未来

薬剤師の役割は基本的には変わりませんが、外的な要因で求められる役割が変化しています。その理由の一因となっている、タスク・シフティングや在宅医療の需要増加について解説します。

医薬品の専門家としての重要性

医療業界におけるタスク・シフティングとは、今まで医師が行っていた業務を薬剤師などの他職種にシフトまたはシェアすることにより、医師の労働時間を削減し、本来の業務へより注力できるようにする動きのことです。医師の負担軽減はもちろん、薬物療法の有効性や安全性の向上も目的とされています。

医療業界におけるタスク・シフティング

高度化する薬物療法を、薬剤の専門家である薬剤師が中心となって担うことで質の向上と医師の時間捻出が期待されており、言い方を変えれば、それらに対応できる薬剤師は今後も医療業界で重宝されていくといえます。

地域医療や在宅医療での活躍

これからの医療は、在宅医療や外来診療が増え、医師不足に対応するためのタスク・シフティングがより重要視されていくと予想されます。入院前、入院中、入院後の薬物療法をよりスムーズに行うために、病院内での他職種同士の連携、病院薬剤師と薬局薬剤師の連携がより重要になるでしょう。

在宅医療の薬剤師

また、在宅医療においてはケアマネージャーやヘルパーなどと連携しながら、情報共有はもちろん、問題解決や服薬指導を行っていく必要があります。このことから薬剤師は、他職種と連携したチームの一員として、これまで以上に知識や技術を生かし、地域医療・在宅医療に携わっていく必要があるといえます。

AIやテクノロジーの進化が薬剤師に与える影響

薬剤師の仕事がAIに奪われるという声もありますが、テクノロジーの進化によって必要とされなくなる薬剤師の仕事は、調剤業務や監査といった対物業務です。

服薬指導や調剤後のフォロー、健康サポートといった対人業務はコミュニケーション能力が必要であり、人間にしかできません。そのため、薬剤師が行う対人業務は、医療を必要とする人の増加数に比例して、今後さらに増えていくことが予想されます。

薬剤師が今後活躍するために必要なスキル

求められる役割が変化していく中で今後も薬剤師として活躍していくためには、患者さんや他職種の医療従事者との信頼関係を築く力が必要です。また、ITリテラシーを向上させ、専門知識を常にアップデートしていく姿勢も重要になります。

コミュニケーション能力

対物業務をAIに任せることが可能になり、タスク・シフティングにより医師が行っていた業務を担うようになる中で、対人業務や他職種との連携はこれからの薬剤師業務の中心になっていきます。調剤薬局においても、対人業務へのシフトを促す評価体系への見直しが診療報酬改定によって行われていることから、コミュニケーション能力は薬剤師が今後も活躍していくための欠かせない能力になるといえます。

ITリテラシーの向上

テクノロジーの進化や地域格差の解消のために、オンライン服薬指導などのIT技術を利用した業務が今後は一般的になっていくと予想されます。また、スマートフォンやウェアラブルデバイスを利用した健康管理や、それによる健康指導も、ますます普及していくでしょう。薬剤師には、地域の方々の健康維持・増進を支える立場として、そういったデジタル技術の知識を深め、活用をサポートしていく役割が求められています。

専門知識のアップデート

薬剤師の需要と供給の差が開いていくことが予想される中で、専門知識を深め、ほかの薬剤師との差別化を図っていくことは重要です。現在行っている業務の方向性や自分の目指すべきキャリアなどから、どの分野の専門性を高めていくかを見極め、認定薬剤師をはじめとした資格取得を目指しましょう。また、「研修認定薬剤師」は薬局でかかりつけ薬剤師となるために必要な資格であり、領域を問わず自己研鑽を続けていることを証明する資格です。薬局で働く薬剤師であれば、取得必須と考えましょう。

薬剤師のキャリアアップの選択肢

薬剤師には薬局薬剤師や病院薬剤師などの働き方があり、管理薬剤師や研究職となってキャリアアップするという選択肢もあります。薬剤師のキャリア形成について解説します。

管理薬剤師や薬局経営

調剤薬局で薬剤師としての経験を積むことで、薬局の責任者である管理薬剤師や、薬局を開業し経営者になるといったキャリアも視野に入れることができるようになります。薬局経営を考えている場合には、薬剤師としての知識や技術だけでなく薬局経営のスキルも、働きながら身に着けていきましょう。

病院薬剤師や研究職への転身

病院薬剤師は病院内で調剤や患者さんへの服薬指導を行う仕事であり、タスク・シフティングの影響により、今後も一定の需要が見込まれます。調剤薬局に比べると求人数は少なく、夜勤があるなど負担が大きい面もありますが、臨床の現場で経験を積むことができ、勤続年数が増えるにつれて年収アップも見込めます。

また、製薬会社や食品会社、化粧品会社などの研究職になるという道もあります。研究職は博士号を持っていないと就職が難しく、調剤業務経験やマネジメントスキルなどさまざまなスキルが必要とされる狭き門ですが、やりがいを感じられる仕事が多く、大幅な収入アップが目指せます。

製薬企業やCROでの活躍

CROとは、「医薬品開発業務受託機関」(Contract Research Organization)のことです。新薬開発過程における臨床試験(治験)業務を代行する企業を指します。薬剤師としての知識や経験を活かすことができ、新薬開発に携わっているというやりがいを感じられる仕事です。

薬剤師の未来のためにできること

薬剤師としての将来性を高めていくために、今からできることはたくさんあります。必要な情報を取りこぼさず、適切なタイミングで行動できるよう、できることに一つずつ取り組んでいきましょう。

最新の医療情報をキャッチアップ

インターネットや同僚との会話、新聞、雑誌などを活用し、最新の医療情報を把握しておくようにしましょう。ただし、インターネット上の記事や口コミで伝わる情報は、客観性が乏しい場合もあります。新聞や医療雑誌など、より中立な立場から情報発信している媒体を見極め活用することが、特定の情報に惑わされないためには大切です。

キャリア形成のためにできるアクション

キャリアアップのための適切な行動を適切なタイミングでとるためには、チャンスを逃さないよう準備しておくことが大切です。希望する求人が出たタイミングで有利に転職活動ができるよう、資格取得や転職エージェントへの登録をしておきましょう。また、近年は転職そのものを目的としないキャリア相談サービスも増えています。自分がどのようなキャリアに進んでいきたいのかがはっきりとしていない場合には、このようなサービスを利用して自分の希望や不安を明確化することが、将来のキャリア形成に役立ちます。

薬剤師の将来性を見据えた行動が未来を切り開く

求められることや働き方が変わっても、薬剤師という仕事が人々の健康を担う重要な職業であり、今後も必要とされる仕事であるということに変わりはありません。将来に備えてスキルを磨き、変化に柔軟に対応していくことで、薬剤師としての自身の将来性を高めていきましょう。

よくある質問

なぜ薬剤師が必要とされ続けるの?
タスク・シフティングや在宅医療の進展により、薬剤師には医師の業務を一部担うことが求められています。服薬指導や健康サポートなど、人との対話が必要な分野では、薬剤師の重要性は今後も増していきます。
薬剤師として今後求められるスキルは?
コミュニケーション能力に加え、ITリテラシーや専門分野の深い知識が求められます。オンライン服薬指導や電子カルテの操作など、デジタル技術への対応力も重要なスキルです。
薬剤師としてのキャリアパスにはどんなものがある?
管理薬剤師や薬局経営、病院薬剤師、研究職、製薬会社やCRO(医薬品開発受託機関)での活躍など多様な道があります。それぞれに必要なスキルや経験を積むことで、キャリアの幅を広げることが可能です。薬剤師の求人を参考に見る
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