かかりつけ薬剤師になるための条件とは?役割や利用方法を徹底解説 | 教えてグッピー
2025年5月9日更新

かかりつけ薬剤師になるための条件とは?役割や利用方法を徹底解説

かかりつけ薬剤師制度

かかりつけ薬剤師制度は、地域の方々の健康をより包括的に支えるために導入された制度です。この記事では、かかりつけ薬剤師になるための条件や、かかりつけ薬剤師の利用方法、利用することのメリットなどについて詳しく説明します。

かかりつけ薬剤師とは?3つの役割

かかりつけ薬剤師とは、豊富な知識と経験をもとに、患者さんの健康を継続的にサポートする薬剤師のことです。患者さんの専属薬剤師として、服用している薬の管理から健康に関するアドバイスまでを担います。この「かかりつけ薬剤師制度」は、2016年4月の診療報酬改定をきっかけにスタートしました。患者さんの薬物療法の安全性や有効性を高め、医師やケアマネージャーなどと連携して、より包括的な医療を提供することが、その目的です。

かかりつけ薬剤師・薬局に求められる役割は、大きく分けて3つあります。

✓ 服薬情報の一元的・継続的把握

✓ 24時間対応・在宅対応

✓ 医療機関等との連携

1つ目は、「服薬情報の一元的・継続的把握」です。かかりつけ薬剤師が患者さん一人ひとりの服薬情報をまとめて管理・把握することで、「副作用は出ていないか」「薬の効果は出ているのか」といったことを継続的に管理し、健康をサポートします。複数の医療機関を受診していることによる、多剤・重複投薬や相互作用の防止も担います。

2つ目は、「24時間対応・在宅対応」です。かかりつけ薬剤師には、薬の飲み間違いや副作用といった緊急の相談に24時間応じる必要があります。また、薬局へ出向くことが難しい在宅患者さんの場合には、薬剤師が直接自宅に伺い、薬の提供や服薬指導、残薬管理などを行います。

3つ目は、「医療機関等との連携」です。かかりつけ薬剤師には、患者さんの状態に応じて医師へ疑義照会や処方提案を行うこと、副作用や服薬状況のフィードバックを行うことなどが求められています。また、患者さんからの薬や健康状態に関する相談に応じ、必要に応じて医療機関への受診提案を行うことも、かかりつけ薬剤師の役割です。

かかりつけ薬剤師になるための条件

かかりつけ薬剤師として活動するためには、以下の5つの条件を満たす必要があります。

1.保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があること

かかりつけ薬剤師になるためには、実務経験が3年以上必要です。また、患者さんの健康相談に応じることができる知識や経験を有している必要もあります。

2.当該薬局で週32時間以上勤務していること

育児や介護などを理由に時短勤務となっている場合には、「週 24時間以上かつ週4日以上」に条件が緩和されます。

3.当該薬局に1年以上在籍していること

患者さんとの信頼関係構築や維持のため、当該薬局に直近1年間以上在籍している必要があります。

4.薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師を取得していること

研修認定薬剤師を取得するためには、4年以内に40単位以上(各年5単位以上)を取得する必要があります。また、取得後も3年ごとに30単位以上(各年5単位以上を取得しなくてはなりません。

5.医療に係る地域活動の取組に参画していること

地域行政や医療関係団体などが主催する講演会への参加や研修会への参加、演者としての実績や学校薬剤師としての活動、そのほか休日夜間薬局としての対応・休日夜間診療所への派遣が、厚生労働省より事例として公表されています。

かかりつけ薬剤師を利用するための条件

かかりつけ薬剤師制度を利用するために、複雑な手続きは必要ありません。「かかりつけ薬剤師になってほしい」と思える薬剤師に対しその旨を伝え、同意書に関する説明を受けたうえで署名を行えば、その後はかかりつけ薬剤師としてのサポートが受けられるようになります。

ただし、かかりつけ薬剤師を利用するためには条件もあります。まず、指名できるかかりつけ薬剤師はすべての薬局の中で一人だけです。引っ越しや、かかりつけ薬剤師制度の利用を取りやめたい場合には、変更や取り消しを申し出る必要があります。

また、かかりつけ薬剤師制度を利用する場合、処方箋1回の受け付けにあたり60円~100円ほどの「かかりつけ薬剤師指導料」がかかります。これは、3割負担の方の場合の金額であり、お薬代と合わせて支払うことになります。

患者さん側のかかりつけ薬剤師のメリット

かかりつけ薬剤師制度を利用することには、以下のようなメリットがあります。

  • 一貫した薬の管理
  • 健康相談ができる
  • 24時間対応

一貫した薬の管理

複数の病院で治療を受けている場合でも、処方された薬を一元的に管理してもらうことができ、副作用や薬の重複を防ぐことができます。これは、かかりつけ薬剤師が在籍している薬局とは違う薬局で薬を購入した場合も同様です。ほかの薬局を利用する際には「かかりつけ薬剤師がいる」ことを伝えるようにしましょう。

健康相談ができる

「薬が合わない気がする」「病院にいくほどの症状なのかわからない」といった薬や健康に関する不安や疑問を、かかりつけ薬剤師に気軽に相談できるようになります。

24時間対応

薬局が開いていない時間であっても、かかりつけ薬剤師に相談することができます。緊急時や夜間に相談できる体制が整っていることで、安心して生活を送ることができます。

かかりつけ薬剤師の指名方法

かかりつけ薬剤師制度を利用したいと思っても、「顔なじみの薬剤師はいない」「どのように薬剤師を選べばいいのかわからない」という方も多いと思います。そのような際の選び方のコツをご説明します。

近くの薬局で「かかりつけ薬剤師制度」について聞いてみる

自宅から通いやすい薬局に足を運び、かかりつけ薬剤師制度について制度やサポートの内容について聞いてみましょう。「丁寧に説明をしてくれた」「感じがよかった」と感じればそのまま申し込みをしてもいいですし、ピンとくる人がいなければ無理に指名しなくても構いません。

説明会や相談会などの薬局イベントに参加してみる

薬局では、一般の方向けに健康に関するイベントを開催することがあります。そのようなイベントは、お気に入りの薬剤師を探すチャンスです。積極的に参加してみましょう。

薬局内の雰囲気を見てみる

薬局スタッフの協力体制や運営体制は、かかりつけ薬剤師としての患者さんへの健康サポートにも影響を与えます。スタッフ同士の雰囲気の良さや、地域イベントへの取り組み方などにも目を向けると、長く付き合える薬剤師を選びやすくなります。

かかりつけ薬剤師制度の今後の展望

かかりつけ薬剤師制度は、さらなる強化・拡充が期待されています。特に、団塊世代が85歳を迎える2035年には、より包括的で質の高い状態でかかりつけ制度が機能していることが求められており、地域医療の一環として薬剤師の役割はさらに重要になると考えられます。地域の方々の健康維持の一端を担う立場として、そのほかの医療関係者と連携しながら、未病の段階で健康を維持する役割がかかりつけ薬剤師には求められています。