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介護離職とは?40代で急増する介護離職の背景と現状について
公開日:2025年06月30日
更新日:2025年12月16日
介護離職とは?40代で急増する介護離職の背景と現状について


少子高齢化が進む中、「介護離職」が社会問題の一つになっています。

介護を担う人が、仕事を辞めざるを得ない状況が増え、離職を迫られる人はもちろん、それによる人手不足は事業所の課題となっています。

今回の記事では、介護離職とは何か、介護離職がどのような影響を社会に与えるのかを解説します。

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介護離職の定義

介護離職とは、家族や親族の介護を理由に転職や退職を行うことです。

厚労省の調査によると、介護を理由に離職する人の数は、毎年10万人を超えており、2011年の調査からほぼ横ばい状態です。離職者の年齢は50歳から64歳が特に多く、40代から急増しているという結果になっています。また、2011年の調査までは離職者の8割は女性でしたが、2016年の調査以降、男性の割合は上昇傾向にあります。

介護離職が社会に与える影響

介護離職が社会に与える代表的な影響は、働き手の減少とそれによる経済的損失です。少子高齢化の影響で労働人口が減少する中、40代から60代という事業の中核を担っている従業員が離職することは、企業の生産性低下や業績の悪化につながります。また、管理職・リーダー職の従業員が抜けることやほかの従業員への負担増加などが、さらなる離職やモチベーションの低下につながってしまうこともあります。

介護離職が必要になる場面・理由

介護離職を決断する理由には、どのようなものがあるのでしょうか。介護離職に至った理由として代表的なものを3つ解説します。

介護との両立が難しい職場

介護離職を決断する理由として最も多いのが、職場環境の問題です。「時短勤務ができない」「休みを取りづらい」「同僚の理解が得られない」など、仕事と介護の両立が難しい職場であるために、両立したかったけれど仕事を辞めざるを得ないと判断し介護離職に至る人が多くなっています。

仕事と介護の両立による介護疲れ

介護への一定の理解がある勤務先だとしても、仕事と介護を両立させることはそう簡単なことではありません。また、家族の介護を行う介護者は40代以降の中高年層であることが多く、仕事と介護の両立が体力的に難しいと感じる場合も少なくありません。そのような理由から介護疲れに陥り、会社を辞めてしまうという方も多くいます。

家族や自分自身の希望

介護を受ける本人や、そのほかの家族、親族などの希望により、介護離職を選ばざるを得なかったという方も少なくありません。また、「介護に専念したい」という理由で、自ら介護離職を決断する場合もあります。


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介護離職に伴うメリットとデメリット

社会問題の一つになっている介護離職ですが、デメリットやリスクだけがあるわけではありません。介護離職に伴うメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

介護離職のメリット

介護離職のメリットの一つは、精神的な負担の軽減です。例えば仕事をしながら介護をしていた場合、仕事中に介護スタッフとのやり取りをしなければならなかったり、要介護者の状態が気になって集中できなかったりと、精神的な負担が大きいことがあります。介護離職に伴い介護に専念するようになることで、そのような精神的負担からの解放が見込めます。

また、自身が介護に専念するようになることで、それまで利用していた介護サービスの一部を自ら行うようになり、経済的負担の軽減が可能になることもあります。

介護離職のデメリット

介護離職のデメリットとしてまず挙げられるのは、心身の負担の増加です。介護離職に伴って引き受ける介護が多くなることで、精神的なストレスや体力的な負担が増加する場合があります。

メリットである「精神的な負担の軽減」と矛盾するようですが、自分で介護をすることには「人に任せなくてもいい」という安心感と、「自分ですべて行わなくてはならない」という負担の両面があるということです。また、離職によって収入が減ることで、経済的負担が増加することも少なくありません。

そして、社会的な孤立や再就職の難しさも、介護離職のデメリットです。仕事を辞め、介護に専念する生活になることで、同僚や友人とのかかわりが減り、孤独感を感じるリスクがあります。また、年齢が上がるにつれ、再就職は難しくなります。離職期間が長ければ長いほど再就職は難しい傾向にあり、介護が終わりを迎えた後に自分自身の生活が困窮するリスクがあります。

仕事と介護の両立支援制度は?

2024年5月に育児・介護休業法の改正がなされ、2025年4月からは介護離職防止のための個別の周知・意向確認、雇用環境整備等の措置が事業主の義務となります。厚労省から発表されている仕事と介護の両立支援制度の概要を解説します。

介護休業

介護休業は、労働者が要介護状態にある対象家族を介護するための休業制度です。

対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業でき、雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす方は、介護休業期間中に休業開始時賃金日額の67%相当額の介護休業給付金が支給されます。

介護休暇

介護休暇は、労働者が要介護状態にある対象家族を介護・世話するための休暇制度です。対象家族が1人の場合は年5日まで、対象家族が2人以上の場合は年10日まで利用でき、一日または時間単位で利用できることが特徴です。

短時間勤務等の措置

短時間勤務等の措置は、労働者が要介護状態にある対象家族を介護するための所定労働時間の短縮等の措置のことです。事業主は「短時間勤務の制度」「フレックスタイムの制度」「始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度」「労働者が利用する介護サービスの費用の助成、その他これに準ずる制度」のいずれか1つ以上の制度を設ける必要があり、労働者は対象家族1人につき、利用開始の日から連続する3年以上の期間で2回以上利用することができます。

所定外労働の制限

所定外労働の制限(残業免除)は、労働者が要介護状態にある対象家族を介護するために申請した場合、会社は所定外労働を免除しなければならないという制度です。1回につき、1か月以上1年以内の期間で、回数の制限はありません。

時間外労働の制限

時間外労働の制限は、労働者が要介護状態にある対象家族を介護するために申請した場合、会社は1か月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせてはいけないという制度です。1回につき、1か月以上1年以内の期間で、回数の制限はありません。

深夜業の制限

深夜業の制限は、労働者が要介護状態にある対象家族を介護するために申請した場合、会社は深夜に働かせてはならないという制度です。深夜業とは、午後10時から午前 5 時までの労働のことを指し、1回につき、1か月以上 6か月以内の期間で利用できます。回数の制限はありません。

その他

介護休業等を申出・取得したことを理由とする、解雇、雇止め、降格などの不利益な取扱いは禁止されています。また、介護休業等に関するハラスメント防止対策を行うことは、事業主の義務となっています。

介護離職を防ぐ企業の取り組み

介護離職による人材の流出を避けるために、介護休業法の改正に合わせた取り組みを行う企業が増えてきています。主な取り組みについて解説します。

リモートワークの導入

コロナ禍を機に導入する企業が増えたリモートワークは、仕事と介護の両立のためにも活用されています。自宅にいながら仕事ができる環境を整えることで、仕事を続けながら介護に取り組めるようにするための取り組みです。「テレワーク推奨月間」を設けることで、従業員が気兼ねせずにリモートワークができるようにするといった取り組みをしている企業もあります。

短時間勤務・フレックス制度の設定

フルタイムでは働くことが難しい従業員のために、短時間勤務制度やフレックス制度を導入する企業も増えてきています。勤務時間を固定しないことで、デイサービスやデイケアへの送り迎えの時間をさけて勤務をしたり、介護に割く時間を増やしたりといったことが可能になります。

再就職支援制度の設定

介護離職をした従業員に向けて、再就職支援制度を用意している企業もあります。再就職に向けた相談窓口の設置や求人情報の提供など、その取り組みはさまざまです。一定の期間内であれば、離職前と同条件で復職できる制度を整えている企業もあります。

介護と仕事を両立するためのポイントは?

国や企業の取り組み以外にも、不本意な介護離職を避けるためにできることがあります。介護者本人ができる備えや対策を解説します。

介護を行うための備えをする

「現時点では介護が必要な状況ではないものの、今後必要になる可能性がある」という場合、介護保険制度・介護サービス、両立支援制度の概要を前もって理解しておくことが大切です。国の制度はもちろん、自身が働いている会社にはどのような制度があるのかを調べておくことで、いざというときに慌てずに対処することができます。

また、介護が必要になった時に備えて、親と話し合っておくことも重要です。「介護が必要になった時にどのように暮らしていきたいのか」「子どもに介護してもらうことを希望するのか、または抵抗があるのか」などを確認しておきましょう。そのほか、生活費の状況や書類等の保管場所、交友関係なども知っておくことで後々のトラブルを避けやすくなります。介護者に兄弟や配偶者がいる場合には、その方々と介護について話し合っておくことも重要です。

すでに介護が必要になっている場合

介護が必要な状況に直面した場合、まずは勤務先に「家族の介護が必要になったこと」を伝え、活用できる「仕事と介護の両立支援制度」がないかどうかを確認しましょう。介護保険の申請は早めに行い、要介護認定前から調整を開始することも大切です。

また、ケアマネージャーを信頼して遠慮なく相談すること、自分で介護しすぎず介護サービスを活用することも、心身の負担を軽くするためには大切です。利用できるサービスは利用し、自分の時間も大切にすることで、介護疲れのリスクを減らしましょう。


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